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2016-03-15 10:54

(連載2)欧州財政危機の可能性について

真田 幸光  大学教員
 ところが、これら欧州各国の経済そのものの先行き不安感が増した、ギリシャの財政破綻危機の高まりによって、これら各国の国債の時価評価規準の価値は低下、その結果として、それらユーロ建て国債と言う資産を持つ金融機関の資産内容も悪化、そして、その後、これら金融機関は、欧州各国が発行した国債を資産ポートフォリオから外しきれずに、今日に至りました。

 一旦は、欧州各国の努力によって、「低下した国債の価値の下支え、その後の反転、上昇」が見られ、欧州財政危機は、「潜在的にはそのリスクが残っても、直ぐには顕在化しないであろう。」との安心感がマーケットに戻り、安定していましたが、特に、昨年後半の、「欧州に於ける中東からの難民問題とこれに関係する欧州地域全体のテロ発生リスクの拡大や欧州連合の経済自由化に対する逆方向的な動き(例えば国境におけるパスポート・チェック再開の議論拡大など)が顕在化」更には、「英国の運用欧州連合脱退の動き」「世界的な景気鈍化リスクの拡大」などの要因が複雑に重なることにより、欧州各国が発行した国債の信用力が再び低下しその時価評価も低下、結果、これらの債権を未だにたくさん保有している、そして、国際的な取引でも活躍している、「欧州各国の主要金融機関」の資産ポートフォリオも再び大いに痛みはじめ、最近では、欧州の中心的な銀行と言うのみならず、「世界的な金融機関」とも言われている、「ドイツ銀行」の経営不安問題まで、噂に登るようになっています。

 この問題は、お気づきの通り、「欧州各国が発行した国債の価値が戻れば、顕在化しない。」ものではあり、そうした意味では、あまり心配する必要は無いとも言えます。しかし、市場ものであるだけに、万一、金融不安が拡大すれば、欧州各国国債の更なる価値低下もあり得る、よって、その過程では、これら各国の国債を「しこたま」抱えているドイツ銀行などの欧州の主要金融機関が一気に破綻、それらの金融機関の本籍国もそれに連れて、一気に破綻危機に晒されることもあり得ます。

 そうした意味では、「中国本土発の世界経済鈍化」よりも、この、「欧州発の世界経済鈍化」のリスクの方がTail Risk(発生する可能性は極めて低いが、一旦発生するときわめて甚大なる悪影響を与えるリスク)的視点から見ると、高いかもしれません。引き続き動向をチェックしていきたいと思います。(おわり)
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