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2016-02-09 10:54

(連載2)ドイツが抱える三重苦:メルケル首相に向かい風

児玉 克哉  社会貢献推進機構理事長
 フォルクスワーゲンの排ガス規制逃れはドイツの産業界や政界を揺るがしています。まだ決定的な打撃にはなっていませんが、今年は大幅な売上の減少とリコールにかかる費用の負担、賠償金などがかかると予想されます。フォルクスワーゲンはドイツ最大の自動車メーカーです。ドイツの屋台骨を支えてきた優良企業です。雇用も最大級で国内の雇用者数は27万人を超え、部品納入業者も加えればさらに多くなります。その大企業が揺らぐとドイツの経済も揺らぎます。ドイツにとってはギリシャの混乱よりもはるかに大きな打撃になりそうです。フォルクスワーゲンによる経済問題が顕在化するのは今年です。メルケル人気も好調なドイツ経済があってのこと。一気に風向きは変わります。

 フォルクスワーゲンも含めて、ドイツは中国依存度を高めてきました。メルケル首相の中国への肩入れは不自然なほど強くありました。メルケル首相は頻繁に中国に行き、大きな商談をまとめてきました。日本とドイツは戦前も、「戦中」も、戦後も関係が深かったのですが、メルケル首相は中国をアジアの最重要パートナーとして位置づけてきました。フォルクスワーゲンも世界で3台に1台は中国に販売している状態です。この中国依存の体質が、中国経済が失速する中で裏目に出つつあります。中国の車の販売も伸び悩むようになりました。また世界の工場としての機能も人件費等のアップから優位性を失いつつあります。中国の景気の低迷は、ドイツ経済にも打撃を与えることになります。

 ヨーロッパの中心国として影響力を高めたドイツ、そしてそのリーダーとして国内外からの賞賛を受けていたメルケル首相。一気に変わる環境に戸惑いを隠すことはできません。メルケル首相の退陣を求める声も高まっています。経済の減速があると、おそらくこの批判に耐えられないのではないかと思っています。伊勢志摩サミットまでメルケル首相が在任することができるかどうか。そうとうに危ない状況です。

 これはヨーロッパにも大きな影響を与えます。ギリシャ問題のようなときに、強いドイツと強いメルケル氏がいたから、なんとかまとまったのです。自己犠牲も惜しまないドイツ・メルケル首相。だからこそ、ユーロはなんとか持ちこたえました。イギリスではできなかったことです。今、ドイツとメルケル首相に難題がふりかかっています。強いリーダーシップを持っていたメルケル首相が退陣となれば、ユーロ経済に与える影響も大きいのです。難民、VW、中国経済低迷の3重苦の打撃には、さすがのメルケル首相も 耐え切れないように思います。(おわり)
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