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2016-01-26 11:03

デュポンについて

真田 幸光  大学教員
 私は、日本の企業のあり方については、「規模の経済性を追うのではなく、むしろ質を追うべきである。」と考えています。そして、日本企業は、「世界が物凄く強く必要としているものやサービスを、わが社しか提供できない分野に絞って開発し、それを一番高く評価してくれる顧客に対して、量と価格を安定化して適正価格で販売していく。」ことが好ましい姿と考えており、「少量・変量、しかし可能な限り大量で、多品種、高品質でかつ、可能な限り高利潤を獲得する。」といった形でビジネス展開していくことが理想形であるとも考えています。

 日本企業にこのような企業は残念ながら、無いように思いますが、世界的に見ると、「大量、多品種、高品質で高利潤を獲得できる企業」として考えられる企業としては、「デュポン」と言う会社があると考えています。デュポンと言う会社は、「米国オリジンの化学会社」であり、世界第三位、米国第二位の企業です。創業は1802年とされ、資本金は110億米ドルを超えています。米国では、ロックフェラーやメロンと言った有数の財閥と並ぶ米国三大財閥とも称され、「安全、健康、環境、企業倫理」を企業理念として発展してきた、「世界が必要なものやサービスをデュポンしか提供できないような形で供給し、結果として、大量・多品種、高品質、高利潤を具現化した世界的な企業である。」と私は考えています。その典型的な事業展開としては、「アポロ計画」に初期段階から参画し、新素材の開発などで実績を挙げ、他の企業との、「比較競争優位」を明らかなものとしてきたと言えます。

 ところが、です。私が尊敬してきたこのデュポンも、ここに来て、「経営悪化に伴う大規模なリストラの断行」と、「米国総合化学会社トップであるダウ・ケミカルとの経営統合」の話が浮上、世界最大の化学会社であるドイツのBASFを上回る会社を作ろうとして動き始めているようです。即ち、更に規模の経済性を追う方向に舵をきることを鮮明したとも言えます。

 こうした状況に陥った最大の背景は、「規模の経済性を追い求めすぎたがゆえに、景気悪化による売上の低下が、過剰人員、過剰設備の状況を生み出してしまい、結果として、高収益構造が崩れると共に、キャッシュフローが回らなくなると言った状況を引き起こしてしまった。」ことにあると私は見ています。驕る平氏は久しからず、さすがのデュポンと雖も、規模の経済性を追い求め過ぎると転落してしまうと言う好例であるかもしれません。引き続き、デュポンの行く末をフォローしたいと思います。
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