国際問題 外交問題 国際政治|e-論壇「議論百出」
ホーム  新規投稿 
検索 
お問合わせ 
2016-01-12 11:08

(連載1)慰安婦問題に関する日韓合意について思うこと

佐藤 正久  参議院議員(自由民主党)
 昨年12月28日、ソウルで行われた日韓外相会談において、いわゆる慰安婦問題が「最終的かつ不可逆的に」解決されることを日韓両国が言及し、確認しました。特に朝日新聞による誤報以降、長きにわたり日韓関係にとって大きな障害となっていた慰安婦問題。本件が「最終的かつ不可逆的」な解決をみたことは喜ばしいことです。外交問題にまで発展している大変難しい本件について、政治決断として日韓両政府の間で終止符が打たれたことを佐藤も歓迎したいと思います。

 今後、いわゆる慰安婦像やユネスコの記憶遺産申請など、いわゆる「慰安婦」に関連する諸問題を今回の日韓合意に基づき、終息させなければなりません。そのためにも、フォローアップが大事です。ただ、今回の合意では課題や懸念もいくつか見て取れます。それらはフォローアップにおける重要な論点となるでしょう。

 まず、日本の課題として改めて浮き彫りになったのが、対外情報発信力。今回の日韓合意に関する海外での報道を見ていると、例えば、米国の有力誌であるニューヨーク・タイムズ紙は、「性奴隷」という見出しを打っています。こうした不正確な表現は、諸外国の政府や国民に誤解を与えかねません。日本政府として、こうした事実にそぐわない不正確な報道に対しては英語で、速やかに、柔軟かつ適切に反論しなければなりません。今後は、日本の対外情報発信力をより一層強化し、事実とは異なる表現や文章が独り歩きすることをより積極的に防止していきたいものです。

 懸念として挙げられるのは、やはり、合意文書が作成できなかったこと。今回の合意は、いわば“口約束”。いくら日韓両国の国民、そして、世界各国の人々の目に触れる形で「最終的かつ不可逆的に」解決をみたとはいえ、日韓両国が共有した認識を文字として残せなかったことには一抹の不安が残ります。なぜなら、法的拘束力がないからです。(つづく)
お名前は本名、またはそれに準ずる自然な呼称の筆名での記載をお願いします。
下記の例を参考にして、なるべく具体的に(固有名詞歓迎)お書き下さい。
(例)会社員、公務員、自営業、団体役員、会社役員、大学教授、高校教員、大学生、医師、主婦、農業、無職 等
メールアドレスは公開されません。
ただし、各投稿者の投稿履歴は投稿時のメールアドレスにより抽出されます。
投稿記事を修正・削除する場合、本人確認のため必要となります。半角10文字以内でご記入下さい。
e-論壇投稿の際の注意事項

1.投稿はいったん管理者の元へ送信され、その確認を経てから掲載されます。
なお、管理者の判断によっては、掲載するe-論壇を『議論百出』から他のe-論壇『百花斉放』または『百家争鳴』のいずれかに振り替えることがありますので、予めご了承ください。

2.投稿された文章は、編集上の都合により、その趣旨を変えない範囲内で、改行や加除修正などの一定の編集ないし修正を施すことがありますので、予めご了承ください。

3.なお、下記に該当する投稿は、掲載をお断りすることがありますので、予めご了承ください。

(1)公序良俗に反する内容の投稿
(2)名誉や社会的信用を毀損するなど、他人に不快感や精神的な損害を与える投稿
(3)他人の知的所有権を侵害する投稿
(4)宣伝や広告に関する投稿
(5)議論を裏付ける根拠がはっきりせず、あるいは論旨が不明である投稿
(6)実質的に同工異曲の投稿が繰り返し投稿される場合
(7)管理者が掲載を不適切と判断するその他の理由のある投稿


4.なお、いったん投稿され、掲載された原稿の撤回(全部削除) は、原則として認めません。
とくに、他人のレスポンス投稿が付いたものは、以後部分的であるか、全部的であるかを問わず、いかなる削除も、修正もいっさい認めません。ただし、部分的な修正については、それを必要とする事情に特別の理由があると編集部で認定される場合は、この限りでありません。

5.投稿者は、投稿された内容及びこれに含まれる知的財産権(著作権法第21条ないし第28条に規定される権利を含む)およびその他の権利(第三者に対して再許諾する権利を含む)につき、それらをe-論壇運営者に対し無償で譲渡することを承諾し、e-論壇運営者あるいはその指定する者に対して、著作者人格権を行使しないことを承諾するものとします。

6.投稿者は、投稿された内容をその後他所において発表する場合は、その内容の出所が当e-論壇であることを明記してください。

 注意事項に同意して、投稿する
記事一覧へ戻る
グローバル・フォーラム