国際問題 外交問題 国際政治|e-論壇「議論百出」
ホーム  新規投稿 
検索 
お問合わせ 
2015-09-30 10:31

(連載2)中立と公平

緒方林太郎  衆議院議員(民主党)
 これが一番よく出るのが、国連のPKOです。PKOは「neutral」なミッションではなく、「impartial」なミッションです。もう少し踏み込むと、PKOをやる時はすべての関係者から距離を置くのではなく、国連安保理から与えられたミッションを公平な視点で実施することが求められます。ここはよく誤解されるところです。

 国連PKOのサイトを見てみると、大原則としてこう書いてあります。
Impartiality is crucial to maintaining the consent and cooperation of the main parties, but should not be confused with neutrality or inactivity. United Nations peacekeepers should be impartial in their dealings with the parties to the conflict, but not neutral in the execution of their mandate. Just as a good referee is impartial, but will penalize infractions, so a peacekeeping operation should not condone actions by the parties that violate the undertakings of the peace process or the international norms and principles that a United Nations peacekeeping operation upholds.

 概ね言いたいことは、「公平さ(impartiality)が大事。ただ、それは中立性(neutrality)や不行動(inactivity)とは別。PKOは紛争関係者に対して公平でなくてはならないが、そのマンデートの執行において中立であることはない。国連PKOの原則や和平プロセスに反する関係者の活動を唯々諾々と受け入れるべきではない」みたいな感じです。

 こういう発想は、PKOのみならず国連のすべての活動に当てはまります。なので、国連は「neutrality」を求めた日本に対して、「そもそも国連という組織をよく理解していないんじゃないか?」と反論しているわけです。それを「言葉遊び」で切り捨ててしまうとやり取りは不勉強な日本の負けです。ではなくて、最初からここは「事務総長はimpartialでない」と切って捨てなくてはならないのです。「官房長官にこんな変な反論をさせたのは誰だ?」、「そもそも、国連事務総長に対する最初の批判の際に(ポイント外れの)「neutrality」批判だと受け止めさせたのは誰だ?」と首を傾げてしまいます。あまりにセンスが足らないですね。(おわり)
お名前は本名、またはそれに準ずる自然な呼称の筆名での記載をお願いします。
下記の例を参考にして、なるべく具体的に(固有名詞歓迎)お書き下さい。
(例)会社員、公務員、自営業、団体役員、会社役員、大学教授、高校教員、大学生、医師、主婦、農業、無職 等
メールアドレスは公開されません。
ただし、各投稿者の投稿履歴は投稿時のメールアドレスにより抽出されます。
投稿記事を修正・削除する場合、本人確認のため必要となります。半角10文字以内でご記入下さい。
e-論壇投稿の際の注意事項

1.投稿はいったん管理者の元へ送信され、その確認を経てから掲載されます。
なお、管理者の判断によっては、掲載するe-論壇を『議論百出』から他のe-論壇『百花斉放』または『百家争鳴』のいずれかに振り替えることがありますので、予めご了承ください。

2.投稿された文章は、編集上の都合により、その趣旨を変えない範囲内で、改行や加除修正などの一定の編集ないし修正を施すことがありますので、予めご了承ください。

3.なお、下記に該当する投稿は、掲載をお断りすることがありますので、予めご了承ください。

(1)公序良俗に反する内容の投稿
(2)名誉や社会的信用を毀損するなど、他人に不快感や精神的な損害を与える投稿
(3)他人の知的所有権を侵害する投稿
(4)宣伝や広告に関する投稿
(5)議論を裏付ける根拠がはっきりせず、あるいは論旨が不明である投稿
(6)実質的に同工異曲の投稿が繰り返し投稿される場合
(7)管理者が掲載を不適切と判断するその他の理由のある投稿


4.なお、いったん投稿され、掲載された原稿の撤回(全部削除) は、原則として認めません。
とくに、他人のレスポンス投稿が付いたものは、以後部分的であるか、全部的であるかを問わず、いかなる削除も、修正もいっさい認めません。ただし、部分的な修正については、それを必要とする事情に特別の理由があると編集部で認定される場合は、この限りでありません。

5.投稿者は、投稿された内容及びこれに含まれる知的財産権(著作権法第21条ないし第28条に規定される権利を含む)およびその他の権利(第三者に対して再許諾する権利を含む)につき、それらをe-論壇運営者に対し無償で譲渡することを承諾し、e-論壇運営者あるいはその指定する者に対して、著作者人格権を行使しないことを承諾するものとします。

6.投稿者は、投稿された内容をその後他所において発表する場合は、その内容の出所が当e-論壇であることを明記してください。

 注意事項に同意して、投稿する
記事一覧へ戻る
グローバル・フォーラム