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2015-08-03 23:13

安保法案の必要性

倉西 雅子  政治学者
 安保関連法案の必要性とは、まず第一に、中国の軍事的な台頭と領土拡張主義への対応を挙げることができます。軍事的脅威となる国の出現に伴う国際情勢の劇的な変化は、周辺諸国の政策方針を変える要因となります。そしてもう一つ、21世紀に至って顕著となっているのは、国際秩序そのものの変化です。

 これまで、日本国においては、戦争という言葉のイメージは、どちらかと申しますと、”国権の発動として他国と戦い、あるいは、他国から力で奪う行為”というマイナスの側面が強かったのではないかと思います。戦争反対の声は、このイメージに根差しており、この世は国家間の国益の飽くなき追求とそれらの衝突に満ちているとする世界観は、如何なる戦争にも反対する根拠を与えてきたのです。

 ところが、国家の行動に規範や制約を与える国際法が整いつつある今日では、戦争は、明確に違法行為を意味する”侵略戦争”と、それを制止するための”防衛戦争”や”制裁戦争”…に分化してきております。21世紀の国際秩序は、法の支配の下に置かれることで、一段、次元が上昇しているのです。国内レベルでの犯罪者と警察の関係が、国際レベルでも成立しつつあり、現在における戦争という言葉には、両者による武力行使が含まれています。この区別の曖昧さが、戦争反対を叫ぶ安保法案反対論を勢いづかせるのですが、現実には、国際法を順守している諸国の戦争は、国際秩序を維持するための警察力としての軍事力の行使に限られます。そして、法の整備は進んでも、国連を含む国際制度の歩みは追い付いていない現状は、全ての諸国は、違法な武力行使に対する警察力としての防衛力を備えておく必要性を示しているのです。

 こうした国際秩序の本質的な変化を考慮しますと、安保関連法案への反対は、ある意味で、時代遅れと言えるかもしれません。そして、警察力としての防衛力の否定は、”犯罪国家”による国際秩序の破壊を許すのですから、時代に逆行しているとも言えます。安保関連法案については、国際社会における国際秩序と国際情勢とのデュアルな変化への対応という側面を見落としてはならないと思うのです。
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