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2014-12-26 15:36

安倍政権を信任する「民意のねじれ」とはなにか?

中村  仁  元全国紙記者
 新聞の世論調査をみますと、安倍政権の主要な政策のほとんどに国民は反対しながら、安倍首相には反対していないのです。「民意のねじれ」というのでしょうか。選挙で圧勝した自民党政権は不思議な政権です。そこにもろさがあり、野党に弱い横腹をみせているのです。総選挙後の主要政策である原発再稼動、集団的自衛権の行使、消費税10%、憲法改正などについて、反対が賛成をうわまわっています。これだけ反対が強いと、普通なら、全体を総合して政権は信任されません。日経新聞にいたっては、安倍内閣の支持率は53%で、選挙前より上がっています。読売新聞は49%で横ばいです。

 12月26日の新聞の記事をながめていて、いつまでこのような歪みが続くのかと、思いました。主要政策がすべて反対されているのに、政権が支持されるのだから、本当に強い政権なのか、風向きが変わると、一挙に崩れる政権なのか、分りませんね。原発再稼動が少しずつ進もうとしています。日経では「進めるべきでない55%、反対33%」、読売は「反対58%、賛成35%」と、ほとんど同じです。政府は「安全性を確認しながら原発を稼動していかないと、日本経済はもたない。CO2削減もできない」とのスタンスです。産業、エネルギー政策の最重要課題に強い逆風が吹いています。原発はもっとも微妙な問題なのに、その反対の声が、政権の評価に直結していないのです。

 17年4月にまでさき延ばしした消費税10%上げには、「反対49%、賛成43%」ですし、集団的自衛権の行使に関する法整備には「反対48%、賛成34%」です。消費税、安全保障という国の基本中の基本政策はさっぱり支持されていないのです。日経に限らず、どの調査も同じでしょう。安倍政権が総選挙の争点に仕立てたアベノミクス(経済政策)の評価もさんたんたる数字がでています。読売では、「景気回復を実感していない79%、実感している15%」ですし、「経済政策を評価しない46%、評価する40%」です。

 「安倍政権に対抗できる野党がない85%」(日経)、「これまでの内閣よりまし37%」(読売)に、「民意のねじれ」を解くカギがあるのでしょう。民主党内閣が学生自治会というか、学生運動の延長のような統治能力しかなかったこと、自民党でも短命の福田、麻生内閣が失望をかったことなどが影響しているのでしょうか。「とにかく政治は安定してくれ」という願望だけが、日本の政治を支えている最大の動機だとすれば、政治への本当の期待感が失われているということなのでしょう。
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