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2014-11-27 10:52

(連載3)「安倍政治」を総括する総選挙に

尾形 宣夫  ジャーナリスト
 景気低迷で新たな経済対策が策定されることになるが、補正予算ができるとしても成立は早くても来年2月、予算執行は4月以降になる。年末の急場に手当てしなければならないのに、政治が解散で大騒ぎしていていいのか。補正予算編成と簡単に言うが、その財源をどうするかも定かでない。経済対策のメニューを並び立てても、事業消化に自信を持てるのか。あまたの公共事業が労働力不足、資材高騰で未消化となっている現状を見据えた上での実効ある経済対策を打てるのか。挙げだすと、きりがないほど問題点が浮かび上がる。

 自民党の1強他弱、安倍1強と言われる国政だが、2年前の衆院選を振り返ると、自民党が定数(480)の6割を超える294議席を確保する圧勝だった。しかし小選挙区で自民党候補の名を書いたのは全有権者の約4分の1、比例代表に至っては5分の1に過ぎない。決して現有議席に見合うような国民の負託を受けた多数ではない。雨後の竹の子のような12党が挑んだ乱戦で自民、民主など既成政党への批判票が分散してしまい、小選挙区制の特性が自民の圧勝を後押ししただけである。

 衆院選の圧勝に続く昨年夏の参院選大勝で、政権は衆参両院の過半数を制した。アベノミクスが評価された結果なのだが、デフレからの脱却、経済再生という経済優先で見えにくかった安倍首相の安保・外交の持論が顕在化した。憲法改正問題は引っ込められたが、代わって特定秘密保護法案や集団的自衛権行使問題を巡る論議が白熱化した。結果、秘密保護法は成立し集団的自衛権行使を容認する閣議決定された。アベノミクスで支持率を上げた政権が、余勢を買って安全保障問題に切り込んだのである。

 今回の「アベノミクス解散」で安倍首相が政権の地盤を固めるようだと、前回同様、再び安全保障問題が主題となる可能性は否定できない。首相は「アベノミクスを続けるのか、止めてしまうのか、それを問う選挙だ」と経済を前面に押し出したが、私たちは首相の言葉の裏に潜む「何か」、を見極めるべきではないのか。(おわり)
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