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2014-11-04 15:11

(連載1)日米ガイドライン中間報告「アセット(装備品等)の防護」の問題点

桜井 宏之  軍事問題研究会代表
 10月8日に公表された「日米ガイドライン」の見直しに関する中間報告では、「日米両政府は、平時から緊急事態までのいかなる段階においても、切れ目のない形で、日本の安全が損なわれることを防ぐための措置をとる」として、その対象の1つに「アセット(装備品等)の防護」が合意されました。中間報告は、集団的自衛権に関する従来の政府見解を見直した7月1日の閣議決定の「内容を適切に反映」させたもので、日本政府は閣議決定で既に米軍の装備品等の防護に取り組むことを決定していました。

 しかし、閣議決定が想定しているその法整備には極めて問題があるので指摘したいと思います。閣議決定は、「アセット(装備品等)の防護」が可能となる法整備を以下の通り整えると宣言しています。

 自衛隊と米軍部隊が連携して行う平素からの各種活動に際して、米軍部隊に対して武力攻撃に至らない侵害が発生した場合を想定し、自衛隊法第95条による武器等防護のための「武器の使用」の考え方を参考にしつつ、自衛隊と連携して我が国の防衛に資する活動(共同訓練を含む。)に現に従事している米軍部隊の武器等であれば、米国の要請又は同意があることを前提に、当該武器等を防護するための自衛隊法第95条によるものと同様の極めて受動的かつ限定的な必要最小限の「武器の使用」を自衛隊が行うことができるよう、法整備をすることとする。

 要約すると、米軍の装備品等の防護を自衛隊法第95条と同じ法的枠組で行えるようにするということです。自衛隊法第95条による武器等防護のための「武器の使用」(以下「武器等防護の武器使用」)とは、平時において自衛隊の武器等を防護するために、武器を使用することができる権限をいい、その対象には第95条に書かれている通り「船舶、航空機、車両」といった兵器そのものも含まれます。(つづく)
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