国際問題 外交問題 国際政治|e-論壇「議論百出」
ホーム  新規投稿 
検索 
お問合わせ 
2014-10-22 14:36

(連載1)試練に立つ「安倍1強」

尾形 宣夫  ジャーナリスト
 宮沢洋一経産相と上川陽子法相が正式に就任、第2次安倍改造内閣は再出発した。小渕、松島両相の引責辞任の穴をすぐさま埋めた安倍政権の危機感が手に取るように分かるが、政局はこれで一件落着といくのだろうか。野党は安倍首相の任命責任をしつこく追及する構えだし、国会審議が与党の思うとおり進みそうにない。いずれ会期延長に追い込まれるかもしれない。

 今回の辞任劇が生やさしいものでないことは、首相の表情にもろに表れた。小渕、松島両氏の辞表提出と、即日後任に内定した宮沢、上川両氏を首相自ら記者団に説明、政権の看板閣僚の辞任を「任命責任は私にある」「国民に深くおわびする」と陳謝したのだから。

 個人にしろ、団体にしろ、何事も「勢い」を欠くと流れは変わるものだ。特に政治に欠かせないのはこの勢いである。状況を見定めた上で最良の選択をする。勢いのない決断は説得力を欠く。「ことば遊びの政治」で身を滅ぼした民主党政権に悪しき例を見る。一昨年暮れの政権発足以来、安倍首相は民意の不満をつかみ、デフレからの脱却を約束、アベノミクスの3本の矢を次々と繰り出した。説得力と決断で、政治に勢いを吹き込んだ。内政、外交を問わず、首相は脇目も振らず全力疾走した。第1次安倍政権の崩壊で「地獄を見た」(側近)首相の情念がそうさせたという。

 外交・安保という型苦しい硬派の課題に一応のめどをつけた首相は、内閣改造と党役員人事で施政の軸を、国民により身近な「女性の活躍」と「地方創生」に置いた。とりわけ首相は「女性」にこだわった。内閣改造で5人の女性閣僚を任命した。当人の器量はともかく、「小渕経産相」は改造内閣の目玉だった。その小渕氏が政治資金問題で退場した。イタリアのASEM首脳会合で持論を披瀝して意気揚々と帰国するはずだった首相には想定外の出来事だったはずだ。(つづく)
お名前は本名、またはそれに準ずる自然な呼称の筆名での記載をお願いします。
下記の例を参考にして、なるべく具体的に(固有名詞歓迎)お書き下さい。
(例)会社員、公務員、自営業、団体役員、会社役員、大学教授、高校教員、大学生、医師、主婦、農業、無職 等
メールアドレスは公開されません。
ただし、各投稿者の投稿履歴は投稿時のメールアドレスにより抽出されます。
投稿記事を修正・削除する場合、本人確認のため必要となります。半角10文字以内でご記入下さい。
e-論壇投稿の際の注意事項

1.投稿はいったん管理者の元へ送信され、その確認を経てから掲載されます。
なお、管理者の判断によっては、掲載するe-論壇を『議論百出』から他のe-論壇『百花斉放』または『百家争鳴』のいずれかに振り替えることがありますので、予めご了承ください。

2.投稿された文章は、編集上の都合により、その趣旨を変えない範囲内で、改行や加除修正などの一定の編集ないし修正を施すことがありますので、予めご了承ください。

3.なお、下記に該当する投稿は、掲載をお断りすることがありますので、予めご了承ください。

(1)公序良俗に反する内容の投稿
(2)名誉や社会的信用を毀損するなど、他人に不快感や精神的な損害を与える投稿
(3)他人の知的所有権を侵害する投稿
(4)宣伝や広告に関する投稿
(5)議論を裏付ける根拠がはっきりせず、あるいは論旨が不明である投稿
(6)実質的に同工異曲の投稿が繰り返し投稿される場合
(7)管理者が掲載を不適切と判断するその他の理由のある投稿


4.なお、いったん投稿され、掲載された原稿の撤回(全部削除) は、原則として認めません。
とくに、他人のレスポンス投稿が付いたものは、以後部分的であるか、全部的であるかを問わず、いかなる削除も、修正もいっさい認めません。ただし、部分的な修正については、それを必要とする事情に特別の理由があると編集部で認定される場合は、この限りでありません。

5.投稿者は、投稿された内容及びこれに含まれる知的財産権(著作権法第21条ないし第28条に規定される権利を含む)およびその他の権利(第三者に対して再許諾する権利を含む)につき、それらをe-論壇運営者に対し無償で譲渡することを承諾し、e-論壇運営者あるいはその指定する者に対して、著作者人格権を行使しないことを承諾するものとします。

6.投稿者は、投稿された内容をその後他所において発表する場合は、その内容の出所が当e-論壇であることを明記してください。

 注意事項に同意して、投稿する
記事一覧へ戻る
グローバル・フォーラム