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2013-12-10 10:23

(連載)防空識別圏へのミラーアタック(2)

緒方 林太郎  前衆議院議員
 もう少し分かりやすく言うと、日本は自国の主張との関係で100点満点が中間線ですが、中国は100点満点でなくても、中間線よりも日本側に出て解決を図ることが出来るかもしれないというのが今の状況です。これはダメです。衡平な解決を図ろうとする場合、どうしても双方の主張の真ん中を取るようになりますから、真ん中を取って中間線になるという土台くらいは作っておくべきです。私はこの法律を改正して、日本も「まずはどんな状況であろうとも(200カイリを主張すると他国の大陸棚とぶつかるとしても)、日本は200カイリまでは大陸棚の権原を主張することが出来る。」ということを明確に謳うべきだと思います。最終的な姿は中間線が望ましいと思うけども、権原としては200カイリまで主張できるのだということを言うべきです(「する」ではなくて、「できる」というのは、実は日本の基線から200カイリまで主張すると一部中国の大陸側にぶつかるところがあるからです。細かいことでが。)。

 日本が200カイリを主張する、中国は自然延長論を取る、そこを明確にスタートラインと設定すべきです。この手法のいいところは、別に中国を名指しせずにやれてしまうということです。単に「日本はいかなる状況であろうとも、まずは大陸棚の権原としては200カイリを主張するのだ。そこからは交渉次第よ。ただ、望ましいのは中間線だ。」ということだけです。しかも、国際法上も何の問題もありません。淡々と「国際法に基づき、あるべき姿を追求しただけ。」と言えばいいだけです。(ちなみに、こういう法改正をしても、韓国との関係では問題は生じません。というのも、韓国との関係では既に1970年代後半頃に合意した大陸棚関係の条約があるからです。ただ、この条約の内、南部協定については(当時は通説であった)自然延長論がベースになっているんですね。韓国との関係では、中間線から日本に入ったところ「のみ」に共同開発区域を設けているのです。それはそれで問題なのですけど、ただ、合意が存在しているということで、法改正しても直接には影響しません。)

 現職時代から時々こういうテーマを提起してみたのですが、残念ながら、どうも民主党内ではピンとくる人が多くなかったですね。こういう時だからこそ、この排他的経済水域及び大陸棚に関する法律の法改正は上手いやり方だと思うのです。ありとあらゆる法律を駆使して、丁寧に、そして慇懃に打ち返しをやるということです。中国側から「やめろ」と言われたら、「おたくこそ、自然延長論を取り下げろ。」と言い返しましょう。何となく、防空識別圏の話とちょっと似ているところがあるので(斜め45度くらいの)「ミラーアタック」と形容させてもらいました。

 変にことを荒立てることは望ましくないのかもしれません。これをやると、下手をすると中国が中間線を越えてガス田開発をやると言い始めるかもしれません。国際海洋法裁判所等での法廷闘争で勝てるのかといった懸念もあるでしょう。そういうリスクをすべて織り込んだ上であっても、一度くらいこのアイデアを検討することはあっていいのではないかと思います。(おわり)
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