国際問題 外交問題 国際政治|e-論壇「議論百出」
ホーム  新規投稿 
検索 
お問合わせ 
2013-03-01 13:30

(連載)関税分野では満点の日米首脳共同声明(2)

緒方 林太郎  前衆議院議員
 これまでのFTAで最も日本が関税撤廃率が高かったのが日フィリピンで品目ベースで88.4%です。これではノン・スターターですから、今回の首脳共同声明で弛緩することなく、何が撤廃できるのか、そして、そのために必要な対策は何かとギリギリ検討していくことが必要です。しつこく書き続けていますが、まずは95%を目指して頑張っていきましょうということです。

 関税のところはこんな感じでしょうが、私がより問題が大きいと思っているのは「前払いを求められている」ということです。現時点においては、そちらの方が深刻なのではないかと思います。「The two Governments will continue their bilateral consultations with respect to Japan’s possible interest in joining the TPP. While progress has been made in these consultations, more work remains to be done, including addressing outstanding concerns with respect to the automotive and insurance sectors, addressing other non-tariff measures, and completing work regarding meeting the high TPP standards.」とありますが、これですと現在の事前協議の中で自動車や保険セクターで何らかのものを出すことが求められています。しかも、TPPのハイスタンダードを満たすことが交渉入りの前に求められていることになっています(特にcompleting workという言葉が来ていることが気になります)。どう読んでも、これは「前払い」の話です。

 本来は交渉の中で利益の出し入れをするべきものですが、これですと交渉に入る前にタマを2つ、3つ打つことが求められているような印象があります。アメリカも国内の自動車産業対策で色々とやらなくてはならないことは分かりますが、あまり望ましい姿だとは思えません。できるだけフリーハンドで交渉に臨むというのが正しい姿です。何故、日本のメディアはこちらの方を騒がないのかが不思議でなりません。

 あれこれ書きましたが、一番注目される関税の分野ではこれで満点でしょう。その他の部分もあれこれとケチを付けましたが、その部分を差し引いても、政権関係者及び外交当局者はしっかりと必要な仕事をしたと思います。素直にそのご尽力に敬意を表したいと思います。(おわり)
お名前は本名、またはそれに準ずる自然な呼称の筆名での記載をお願いします。
下記の例を参考にして、なるべく具体的に(固有名詞歓迎)お書き下さい。
(例)会社員、公務員、自営業、団体役員、会社役員、大学教授、高校教員、大学生、医師、主婦、農業、無職 等
メールアドレスは公開されません。
ただし、各投稿者の投稿履歴は投稿時のメールアドレスにより抽出されます。
投稿記事を修正・削除する場合、本人確認のため必要となります。半角10文字以内でご記入下さい。
e-論壇投稿の際の注意事項

1.投稿はいったん管理者の元へ送信され、その確認を経てから掲載されます。
なお、管理者の判断によっては、掲載するe-論壇を『議論百出』から他のe-論壇『百花斉放』または『百家争鳴』のいずれかに振り替えることがありますので、予めご了承ください。

2.投稿された文章は、編集上の都合により、その趣旨を変えない範囲内で、改行や加除修正などの一定の編集ないし修正を施すことがありますので、予めご了承ください。

3.なお、下記に該当する投稿は、掲載をお断りすることがありますので、予めご了承ください。

(1)公序良俗に反する内容の投稿
(2)名誉や社会的信用を毀損するなど、他人に不快感や精神的な損害を与える投稿
(3)他人の知的所有権を侵害する投稿
(4)宣伝や広告に関する投稿
(5)議論を裏付ける根拠がはっきりせず、あるいは論旨が不明である投稿
(6)実質的に同工異曲の投稿が繰り返し投稿される場合
(7)管理者が掲載を不適切と判断するその他の理由のある投稿


4.なお、いったん投稿され、掲載された原稿の撤回(全部削除) は、原則として認めません。
とくに、他人のレスポンス投稿が付いたものは、以後部分的であるか、全部的であるかを問わず、いかなる削除も、修正もいっさい認めません。ただし、部分的な修正については、それを必要とする事情に特別の理由があると編集部で認定される場合は、この限りでありません。

5.投稿者は、投稿された内容及びこれに含まれる知的財産権(著作権法第21条ないし第28条に規定される権利を含む)およびその他の権利(第三者に対して再許諾する権利を含む)につき、それらをe-論壇運営者に対し無償で譲渡することを承諾し、e-論壇運営者あるいはその指定する者に対して、著作者人格権を行使しないことを承諾するものとします。

6.投稿者は、投稿された内容をその後他所において発表する場合は、その内容の出所が当e-論壇であることを明記してください。

 注意事項に同意して、投稿する
記事一覧へ戻る
グローバル・フォーラム