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2006-09-11 18:27

日本はそのインテリジェンス(防諜)機能を強化せよ

内田元泰  学生
 浜本聡史氏の8月14日付投稿記事「軍事技術漏洩防止の体制を強化せよ」並びに28日付投稿記事「犯罪企業には外部からの監視も必要」に触発されて、「日本のインテリジェンス(防諜)機能を強化せよ」との私なりの主張を提起したい。浜本氏は、我が国の法制度の不備に着目しておられるが、私は法制度を運用する主体の不備に着目したい。昨今、浜本氏の投稿にある軍事技術漏洩のみならず、上海総領事館館員の自殺問題等、日本の技術や情報の漏洩には、深刻な問題があると考えられるからである。

 戦略的な外交には、敵情報の取得と我情報の秘匿が不可欠の前提となるが、それを達成するためには、なによりも国家ひいては政府自体が、その主体的当事者として関与する必要がある。昨今の不本意な一連の事件は、この意味でいえば、それは政府による不作為の結果に他ならない。私自身は、とりわけ日本の不統一で非効率なインテリジェンス機関に問題があると考える。不統一で非効率的なインテリジェンス機関は、流出すべきではない情報を流出させ、得なければならない情報を得ることができない、という無惨な状態にある。

 冷戦の終結は、一面で緊張の緩和をもたらしたが、他面でむしろ情報戦争という別の戦争を激化させている。そして、それに市民社会等が対処することはほぼ不可能である。そこでは冷戦期さながらの、機微な問題が存在するのであり、伝統的安全保障問題(国家間安全保障)に加えて、非伝統的安全保障問題(テロ問題等)をも誘発している。日本が戦略的外交を展開しようとするならば、まずその足下を固める必要がある。それは、日本政府として、そのインテリジェンス機能(とくに防諜機能)を強化すべきだということに他ならない。
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