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2012-09-05 00:29

(連載)これが日本の政治の現実だ!(2)

尾形 宣夫  ジャーナリスト
 首相問責の可決で、今となっては一体改革などは名ばかりとなってしまったし、単に消費増税を決めただけで国会は終わってしまった。3・11大震災の復旧・復興はいまだに方向性が見えてこない八方塞がりの状態だ。被災地の人たちの我慢はとっくに限界を越えた。にもかかわらず、政治の温かい手は一向に伸びてこない。そんなところに尖閣、竹島の領土問題が飛び込んできた。機能しない国政が的確な対応をするわけがない。国民にとっては最悪の現実である。

 ところで民主党の代表選と自民党の総裁選である。民主党の「野田再選」は動かないようだが、民主党の創設者の鳩山元首相は意地でも対抗馬を立てようと動いている。小沢グループが民主党を離れて「国民の生活が第一」を結党したからかつてのような波乱要因はなくなったが、それでも反消費増税、反TPPの議員は無視できない勢力として党内に残っている。離党せずに「生活」とは一線を画した議員グループだが、今後の政局の動き次第では反旗を翻すかもしれない。民主党議員にとって最も不安なのは、秋にも予想される解散、総選挙である。現執行部には選挙を仕切れるような知恵者・戦略家はどこを見渡してもいない。政権党でありながら、全選挙区に候補者を擁立できないと疑われている。拠りどころをなくした、彷徨える議員たちは数え切れないほどいる。早々と見限って「大阪維新の会」の門をくぐった議員もいる。離党のなだれ現象は続くだろう。

 一方の自民党は現総裁の谷垣氏の力量が問われ、安倍元首相や元官房長官で町村派会長の町村氏が総裁選に強い意欲を表明している。他にも石原幹事長や石破元防衛相の名も取りざたされ混戦模様だ。自民党にとって次の総裁選は、3年前の下野した当時のそれとは全く違う。民主党政権は救い難いほど求心力を失っており、今では政党支持率でも自民党に大きく差をつけられている。総選挙となれば民主党政権に幕が下りるのは間違いないだろう。その分だけ自民党の政権奪取の機会が近づいたと言える。つまり、今度の自民党総裁選は首相を選ぶに等しい。野党時代の総裁選とは全く意味が違う。安倍元首相が「デフレ脱却」を掲げて総裁選に事実上名乗りを上げたが、それも2007年9月の不名誉な退陣からの「再起」を目指したからだ。

 安倍政権は2007年夏以降、「消えた年金」「テロ特措法」などの問題で行き詰まり、参院選で惨敗しながら臨時国会で堂々と所信表明演説をしている。ところが、その直後に辞任したのである。安倍氏の辞任は「健康問題」も大きな理由だった。所信表明をしながら直後に退陣したことで「敵前逃亡」「政権放り投げ」などと厳しく批判された。その名誉挽回なのか、あるいは生まれ変わった自分を披瀝したいのか。安倍氏は自民党の町村派に属する。その派閥の会長の町村氏も総裁選出馬を明言した。同じ町村派から2人が総裁選に名乗りを上げたことは、自民党の流動化を表している。東京・永田町は、どこを見ても「政治」が機能していない。相変わらず脱皮できない政党集団の居住区である。(おわり)
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