国際問題 外交問題 国際政治|e-論壇「議論百出」
ホーム  新規投稿 
検索 
お問合わせ 
2011-10-26 02:29

六辻彰二様から教えられたこと

宮崎 厚  ベンチャー企業顧問
 10月23~25日にかけて当政策掲示板に連載された六辻彰二様のご投稿「(連載)「アラブの春」「ロンドン暴動」「ウォール街占拠」の異同(1~3)」を読んで、とくに「ハンナ・アレントによれば『青年マルクスがフランス革命から学んだのは、貧困は第一級の政治的力になりうるということであった」というくだりを読んで、社会主義、共産主義の本質が何かわかったような気がしました。私は、民主主義というものは、いわゆる中産階級が、専制君主の増税の苦しみからの解放を望んで作り上げたものと思っていましたが、日本の財務省の増税路線はどうもおかしい、専制君主と同じではないか、と感じました。所得の平準化を目指す日本的国家社会主義は、全体の向上よりも、一人一人の所得の平準化を志向する政治力学が働いていると感じました。

 世の中、「格差」「格差」といいますが、基本は一人一人の社会的な生活活動でしょう。自分の稼ぎでやって行ける収入を上げることが基本的テーマだと思います。今の日本のように、平均年収500万円以上は高所得者とされ、それ以下の年収の人は、年金制度も、医療保険制度も、すべて所得再配分、所得平準化のための制度になってしまったことを憂います。平均的一市民が、自分の生涯を自分の稼ぎで賄えないとすれば、そのような国家制度はどこかおかしいと思います。パートの奥さんの収入を論じるような個人の収入も重要ですが、家庭の収入の方がより本質的だとも思います。

 自立している人、自己の職業に埋没している現役世代にとって、政治なんていうものには関心がなく、無党派層にならざるを得ません。しかるに、平均年齢66歳の農業従事者は、国民年金受領者であるにもかかわらず、さらに農業補償をダブル受領しています。まして、20代から40代の若手の多いJAなどは、いつも政治力を使って、実際の農業従事者ではないにもかかわらず、「日本の農業を守れ」などと言って、国からの補助金や交付金を要求してます。戦後の昭和20年代の日本国民のすべてが貧しかった頃と同じ200万人の人が生活保護を取っています。こんなことでは、民主主義の利点は、社会主義の欠点にすり替えられ、所得の平準化という口実で全体がじり貧となってゆきます。社会主義、共産主義の失敗を民主主義の名のもとに後追いしている感じです。

 世の中、所得の「格差」が問題なのではなく、「機会均等」や「差別撤廃」などが問題なのです。それぞれが分相応の人生が送れるような社会が理想だと思います。高級住宅地があってもいいではないですか。他方で、庶民は貧乏長屋で、楽しく一生を送って何が問題なのでしょうか。今の日本の年金制度のように、一人一人が自分の生涯を、自分の稼ぎで賄えず、老後を後代の稼ぎに頼る仕組みでは、人口が減ってはにっちもさっちもいかなくなります。しかし、六辻様のご指摘で、貧困層は強烈な政治力を持ち、社会をゆがめるという、マルクス思想の反民主主義性格が理解できました。中産階級を育てることこそ、文化や教養を育て、社会を向上させて、貧困層の生活水準をを根本的に引き上げる原動力だと思います。 
お名前は本名、またはそれに準ずる自然な呼称の筆名での記載をお願いします。
下記の例を参考にして、なるべく具体的に(固有名詞歓迎)お書き下さい。
(例)会社員、公務員、自営業、団体役員、会社役員、大学教授、高校教員、大学生、医師、主婦、農業、無職 等
メールアドレスは公開されません。
ただし、各投稿者の投稿履歴は投稿時のメールアドレスにより抽出されます。
投稿記事を修正・削除する場合、本人確認のため必要となります。半角10文字以内でご記入下さい。
e-論壇投稿の際の注意事項

1.投稿はいったん管理者の元へ送信され、その確認を経てから掲載されます。
なお、管理者の判断によっては、掲載するe-論壇を『議論百出』から他のe-論壇『百花斉放』または『百家争鳴』のいずれかに振り替えることがありますので、予めご了承ください。

2.投稿された文章は、編集上の都合により、その趣旨を変えない範囲内で、改行や加除修正などの一定の編集ないし修正を施すことがありますので、予めご了承ください。

3.なお、下記に該当する投稿は、掲載をお断りすることがありますので、予めご了承ください。

(1)公序良俗に反する内容の投稿
(2)名誉や社会的信用を毀損するなど、他人に不快感や精神的な損害を与える投稿
(3)他人の知的所有権を侵害する投稿
(4)宣伝や広告に関する投稿
(5)議論を裏付ける根拠がはっきりせず、あるいは論旨が不明である投稿
(6)実質的に同工異曲の投稿が繰り返し投稿される場合
(7)管理者が掲載を不適切と判断するその他の理由のある投稿


4.なお、いったん投稿され、掲載された原稿の撤回(全部削除) は、原則として認めません。
とくに、他人のレスポンス投稿が付いたものは、以後部分的であるか、全部的であるかを問わず、いかなる削除も、修正もいっさい認めません。ただし、部分的な修正については、それを必要とする事情に特別の理由があると編集部で認定される場合は、この限りでありません。

5.投稿者は、投稿された内容及びこれに含まれる知的財産権(著作権法第21条ないし第28条に規定される権利を含む)およびその他の権利(第三者に対して再許諾する権利を含む)につき、それらをe-論壇運営者に対し無償で譲渡することを承諾し、e-論壇運営者あるいはその指定する者に対して、著作者人格権を行使しないことを承諾するものとします。

6.投稿者は、投稿された内容をその後他所において発表する場合は、その内容の出所が当e-論壇であることを明記してください。

 注意事項に同意して、投稿する
記事一覧へ戻る
グローバル・フォーラム