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2011-10-19 12:30

(連載)TPPと普天間(1)

尾形 宣夫  ジャーナリスト
 野田政権発足から間もなく50日になる。国民目線で愚直に政務にあたり、国政では党内だけでなく野党とも融和を保ちながら”安全運転”に徹してきた感はある。が、そろそろ真価が問われる時期を迎えたようだ。一つは環太平洋経済パートナーシップ(TPP)参加問題、もう一つは沖縄の普天間飛行場移設問題である。この二つの問題は根っこのところで複雑に絡み合い、日米間で互いに相手の腹のうちを探る誠にややこしい話になっている。

 野田首相は「11月のアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議までにTPP参加問題で結論を出す」と明言している。ところが、党内では参加を「慎重に考える会」(山田正彦前農相)が190人もの議員を集め、巻き返しに転じている。反対派が主張する影響は農業、医療・保険、建設、郵政、食品業界など広範にわたり、関税、規制緩和が実施されるなどで、既存の仕組みが崩壊すると警鐘を鳴らしている。

 これに対し政権は「グローバリズムの分水嶺」「自由貿易体制は日本の生き残る道」と反論。前原政調会長にいたっては、反対・慎重論を事実に基づかない恐怖感、つまり「TPPお化け」と一蹴している。現状では、とても双方の歩み寄りは期待できそうにない。そもそもTPPは菅前首相が突然ぶち上げた代物である。菅氏は今年1月24日の施政方針演説でTPPを「平成の開国」と位置づけ、さらに同月末にスイスのダボスで開いた世界経済フォーラム年次総会で「日本のTPP交渉参加に関する結論を6月までに出す」と断言した。

 施政方針演説に先立って、菅氏は東京都内のホテルに財界関係者や各国駐日大使を招いて行った外交演説で「平成の開国」を掲げる念の入れようだった。そして、この開国の核となるTPPが東日本大震災復旧・復興の論議がなされている中で、また蘇ったのである。TPP反対派は、これを「TPP亡霊」と呼んでいる。まさしく、「お化け」と「亡霊」の戦いといった具合である。(つづく)
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