国際問題 外交問題 国際政治|e-論壇「議論百出」
ホーム  新規投稿 
検索 
お問合わせ 
2010-10-18 16:22

民主党政権の錯覚と幻想に失望する

岩國 哲人  前 衆議院議員
 政権交代から1年。この間の民主党の政治姿勢、外交対応、経済問題への判断と対策などを見ていますと、大きな失望を感じずにはいられません。その幾つかをご紹介いたします。まず普天間基地問題。この問題で地元沖縄からは不信、米国からは不満を抱かれた結果、鳩山内閣は退陣し、思いもかけず総理の座についたのが菅直人総理です。

 就任2カ月の参院選で沖縄選挙区に候補者さえも立てなかったことは、大きな問題です。基地問題で地元合意を得たいなら、まずは候補者を立てて民意を問うべきです。「沖縄の県民世論が恐い」「票は捨てても基地だけはほしい」。だから、候補者を立てず「不戦の策」。そういう「基地買い」の選挙対応は、沖縄県民に失礼です。政府与党の立場にありながら特定の選挙区を切り捨てた党は、民主党だけです。普天間と尖閣列島の所属する沖縄を日本の領土と位置づけようとしない。その政治感覚がすべての外交誤作動の発信源です。尖閣諸島で「粛々と」逮捕したはずの船長を、那覇地検の判断で「粛々と」釈放したことも問題です。政治の責任で判断すべきことを、「我菅せず」と、地方の次席検事に「国益を判断」させました。これが民主党の目指す「地方主権」なのですか。正しくは「痴呆主権」と書くべきではありませんか。大いなる錯覚と言うべきでしょう。

 あと1点をつけ加えるなら、仕事の「仕分け人」と称して国会の決算委員会でやれること、やるべきことを、わざわざ国会の外へ持ち出して、野党を入れずに、与党だけの一人芝居。お役人を呼び出していじめる作業に熱中して、予算を削ってはウス播きにして、景気がよくなる仕分けは一つもありません。9月の民主党代表選挙で見せつけられた、菅総理の公金・公職に関する異常な私物化感覚には驚かされました。「政治とカネ」でクリーンな党を目指すというお題目で、代表選挙の相手を批判するなら、「有言実行」、自らがそれを禁止すべきでしょう。ところが菅総理は、向う3年間は国会を解散しないという約束をしました。民主党400人の議員に与党議員の身分を保証し、議員報酬も保証し、――――。その議員報酬は、2年先、3年先に納税者から受取る予定の公金をバラまいていることになります。

 「一に雇用、二に雇用、三にも雇用」というのは、菅総理のうたい文句ですが、「まず隗より始めよ」。なんのことはない、若い人の雇用は後まわしにして、身内の議員の職を保証することだけを優先した、というお粗末。財源不足と言いながら、将来の税金までバラまく感覚に驚いてはいけません。「412人の内閣」と具体的な数字まで挙げて、カネのバラまきに加えて、肩書までバラまく。国会議員の誰もがほしがるカネと肩書と身分保証の3つをすべてバラまくというのですから、分かっている議員ならそれになびかないのがおかしいぐらいです。「国民の生活が第一」、「雇用が第一」と主張しながら、公金・公職を私物化。白昼堂々、カネとポストをバラまく壮大な買収選挙が、日本の政治の中心で行われたのです。
お名前は本名、またはそれに準ずる自然な呼称の筆名での記載をお願いします。
下記の例を参考にして、なるべく具体的に(固有名詞歓迎)お書き下さい。
(例)会社員、公務員、自営業、団体役員、会社役員、大学教授、高校教員、大学生、医師、主婦、農業、無職 等
メールアドレスは公開されません。
ただし、各投稿者の投稿履歴は投稿時のメールアドレスにより抽出されます。
投稿記事を修正・削除する場合、本人確認のため必要となります。半角10文字以内でご記入下さい。
e-論壇投稿の際の注意事項

1.投稿はいったん管理者の元へ送信され、その確認を経てから掲載されます。
なお、管理者の判断によっては、掲載するe-論壇を『議論百出』から他のe-論壇『百花斉放』または『百家争鳴』のいずれかに振り替えることがありますので、予めご了承ください。

2.投稿された文章は、編集上の都合により、その趣旨を変えない範囲内で、改行や加除修正などの一定の編集ないし修正を施すことがありますので、予めご了承ください。

3.なお、下記に該当する投稿は、掲載をお断りすることがありますので、予めご了承ください。

(1)公序良俗に反する内容の投稿
(2)名誉や社会的信用を毀損するなど、他人に不快感や精神的な損害を与える投稿
(3)他人の知的所有権を侵害する投稿
(4)宣伝や広告に関する投稿
(5)議論を裏付ける根拠がはっきりせず、あるいは論旨が不明である投稿
(6)実質的に同工異曲の投稿が繰り返し投稿される場合
(7)管理者が掲載を不適切と判断するその他の理由のある投稿


4.なお、いったん投稿され、掲載された原稿の撤回(全部削除) は、原則として認めません。
とくに、他人のレスポンス投稿が付いたものは、以後部分的であるか、全部的であるかを問わず、いかなる削除も、修正もいっさい認めません。ただし、部分的な修正については、それを必要とする事情に特別の理由があると編集部で認定される場合は、この限りでありません。

5.投稿者は、投稿された内容及びこれに含まれる知的財産権(著作権法第21条ないし第28条に規定される権利を含む)およびその他の権利(第三者に対して再許諾する権利を含む)につき、それらをe-論壇運営者に対し無償で譲渡することを承諾し、e-論壇運営者あるいはその指定する者に対して、著作者人格権を行使しないことを承諾するものとします。

6.投稿者は、投稿された内容をその後他所において発表する場合は、その内容の出所が当e-論壇であることを明記してください。

 注意事項に同意して、投稿する
記事一覧へ戻る
グローバル・フォーラム