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2010-07-15 20:33

(連載)教室内のラップトップ禁止は時代に逆流か?(2)

島 M. ゆうこ  エッセイスト
 教室でラップトップを使用しなければ、80%の学生がディスカッションに参加する、と報告している。また、『ワシントン・ポスト』紙は、コール教授がアンケート調査を行った際、95%の生徒がラップトップを「講義のメモを取る以外の目的に使用していた」と告白したと伝えている。又、コール教授は、他の大学の状況も調査し、シカゴ大学や他の大学では、ラップトップを教室に持ち込むこと自体は個人の自由としているが、授業中は自動的にインターネットを切断していることを『ワシントン・ポスト』紙に報告し、「パーソナル コンピューターは人間の生活に革命をもたらしたが、反面脅かす面もある」と述べている。

 今年3月9日付けの『ワシントン・ポスト』紙は、大学教育現場でPCが導入されるようになったいきさつやコンピュータ技術がもたらすマイナス面を伝えている。例えば、マサチューセッツ州のボストンにあるベントレイ大学は、1985年に個人のポータブル・コンピューターを教室に持参することを学生に義務づけたアメリカで最初の大学であるが、1990年代になると、授業に熱中しない学生が出てくるなどの問題が指摘されるようになった。2000年代になると、授業中はインターネットのアクセスができなよう教授がスイッチを切断できるシステムを導入し、「スイッチの切り替えを頻繁に繰りかえしている状況である」と語っている。 

 『ワシントン・ポスト』紙によれば、2006年メンヒィス大学が全国で最初に法科の学生に対し教室内でのラップトップ使用を禁止した際、学生等はアメリカ法律協会に苦情を訴えた事例がある。『ボストン・グローブ』紙によると、当時ハーバード法律学校でもラップトップの使用を禁止するかどうか職員の投票を検討する動きがあり、個人的に禁止した教授も現れている。オクラホマ大学の物理学の教授は、威厳が損なわれたとして、ある生徒のラップトップに液体窒素を注入し、そのコンピューターを床にたたきつけた、という過剰反応の事例もある。ある生徒が、その一部始終をビデオに捕らえ、ユーチューブで報じたため大反響があった。

 ある大学では、クラス内でのインターネットのアクセスをしばらくの間禁止する提案もある。しかし、インターネットのアクセスを頻繁に必要とする授業形式を採用する教授と、教室内でのディスカッションを重視する教授との間で論争も起きている。生徒のラップトップ使用を支持する教授は、「講義の内容に魅力があれば、生徒は熱心に聞く」と主張。一方、ラップトップ禁止に同意する教授等は、教室内でのディスカッションを重視する傾向が強く、「成績が低下していることから、コンピューターを使わない方が授業に集中できる」とし、一方的な講義よりお互いに意見を述べあうことで学ぶことも多い、社会参加の重要性を強調している。(つづく)
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