国際問題 外交問題 国際政治|e-論壇「議論百出」
ホーム  新規投稿 
検索 
お問合わせ 
2010-05-25 07:41

参院選は、民主惨敗、みんなの党躍進か

杉浦 正章  政治評論家
 ごうごうたる世論の責任追及論にもかかわらず、5月24日の民主党内は、まさに寂として声なしだった。「退陣要求」どころか、渡部恒三にいたっては「鳩山君に内閣をさらに継続して続けてもらわざるをえない。私の口から『鳩山君、退陣すべきだ』とは間違っても言わない」と、いつの間にか政権を支えはじめた。ツートップへの批判が出ないのはなぜだろう。これは「民主党文化」とも名付け得る特異現象としか思えない。こうして「鳩山・小沢体制」での参院選が潮流になって来た。結果は、民主惨敗、みんなの党躍進、そして自民復調だろう。

 政党文化の違いはどこから出ているのだろうか。まず民主党は、戦後一貫して体制に抗し続けて来た勢力を基盤としており、打たれ強いのだろう。社会党出身議員、労組出身者、社会運動家などが幅を利かす政党だ。マスコミの批判など、本心では意に介していないのだろう。若手は、幹事長・小沢一郎から「選挙区に帰って、戸別訪問せよ」と厳命を受けて、政治への思考能力など止められたままだ。そういった文化的風土から「参院なんか負けたって、衆院がある」(党幹部)といった発想が出てくるのだろう。

 小沢の基本戦略も、当面郵政改革法案で国会をリードして、農水相不信任案や内閣不信任案は粛々と否決し、6月16日の閉幕に逃げ込む、という戦略だろう。そうすれば党内は選挙一色となり、徒党を組むような動きも封じられる。首相・鳩山由紀夫に辞められては、自分のクビが危ういから、辞めさせない。すべては7月11日の参院選投開票後に持ち越す。大敗したら公明党やみんなの党にまで触手を伸ばし、連立は無理にしても、大平正芳が行った政策ごとのパーシャル連合(部分連合)などで生き延びようとする。問題は小沢にその力が残るかということだ。参院選2人区以上で複数候補を立てる戦略は、総選挙圧勝の波を背景に打ち立てたものであり、追い風が途絶えた中での二人当選の可能性は極めて少ない。状況の変化に順応できないから、「老化現象」(渡部)と言われるのだ。

 問題は、29の小選挙区でも惨敗の目が出る可能性が高いことだ。小選挙区には、前回自民党が5議席しか取れなかったのと酷似したムードがある。退陣に追い込まれた橋本政権は、全体で44議席、宇野も36議席だったが、この逆風の強さでは、民主は20議席台に落ちてもおかしくない。みんなの党がブームとなっており、既に27人の候補を立てて波に乗っている。民主党が失う票は、みんなの党と自民党に流れるだろう。その他の雨後の筍政党は、まだ分析不可能だ。したがって、鳩山・小沢ラインは国政選挙敗北という深手を負うのが必至である。憲政の常道にのっとり、首相と幹事長は潔く退陣すべきだろうが、異文化政党にその動きが出るか。遅くとも9月の党代表選挙で、まさか鳩山を再選させることはあるまい。後継に菅直人がなるにしても、岡田克也がなるにしても、国会運営は厳しく、早期解散に追い込まれる要素は多分にある。
お名前は本名、またはそれに準ずる自然な呼称の筆名での記載をお願いします。
下記の例を参考にして、なるべく具体的に(固有名詞歓迎)お書き下さい。
(例)会社員、公務員、自営業、団体役員、会社役員、大学教授、高校教員、大学生、医師、主婦、農業、無職 等
メールアドレスは公開されません。
ただし、各投稿者の投稿履歴は投稿時のメールアドレスにより抽出されます。
投稿記事を修正・削除する場合、本人確認のため必要となります。半角10文字以内でご記入下さい。
e-論壇投稿の際の注意事項

1.投稿はいったん管理者の元へ送信され、その確認を経てから掲載されます。
なお、管理者の判断によっては、掲載するe-論壇を『議論百出』から他のe-論壇『百花斉放』または『百家争鳴』のいずれかに振り替えることがありますので、予めご了承ください。

2.投稿された文章は、編集上の都合により、その趣旨を変えない範囲内で、改行や加除修正などの一定の編集ないし修正を施すことがありますので、予めご了承ください。

3.なお、下記に該当する投稿は、掲載をお断りすることがありますので、予めご了承ください。

(1)公序良俗に反する内容の投稿
(2)名誉や社会的信用を毀損するなど、他人に不快感や精神的な損害を与える投稿
(3)他人の知的所有権を侵害する投稿
(4)宣伝や広告に関する投稿
(5)議論を裏付ける根拠がはっきりせず、あるいは論旨が不明である投稿
(6)実質的に同工異曲の投稿が繰り返し投稿される場合
(7)管理者が掲載を不適切と判断するその他の理由のある投稿


4.なお、いったん投稿され、掲載された原稿の撤回(全部削除) は、原則として認めません。
とくに、他人のレスポンス投稿が付いたものは、以後部分的であるか、全部的であるかを問わず、いかなる削除も、修正もいっさい認めません。ただし、部分的な修正については、それを必要とする事情に特別の理由があると編集部で認定される場合は、この限りでありません。

5.投稿者は、投稿された内容及びこれに含まれる知的財産権(著作権法第21条ないし第28条に規定される権利を含む)およびその他の権利(第三者に対して再許諾する権利を含む)につき、それらをe-論壇運営者に対し無償で譲渡することを承諾し、e-論壇運営者あるいはその指定する者に対して、著作者人格権を行使しないことを承諾するものとします。

6.投稿者は、投稿された内容をその後他所において発表する場合は、その内容の出所が当e-論壇であることを明記してください。

 注意事項に同意して、投稿する
記事一覧へ戻る
グローバル・フォーラム