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2010-04-20 16:43

米ロ、START1後継条約に調印

石川 純一  フリージャーナリスト
 オバマ米大統領とメドベージェフ・ロシア大統領は3月26日、第1次戦略兵器削減条約(2009年12月5日期限切れで失効)の後継条約で最終合意し、4月8日にチェコの首都プラハで新核軍縮条約に調印した。新条約は、戦略核弾頭を現行上限の2200発から1550発へと約30%削減するとともに、運搬手段も1600基・機から800基・機へ削減した(配備ずみの運搬手段は700基に)。新条約には、全分野にわたり削減の履行状況を検証することも盛り込まれた。双方は新条約発効から7年以内に削減を行う。

 START1は、1991年に米国と旧ソ連邦との間で調印された。両国は他にも、1987年に中距離核戦力全廃条約(INF全廃条約)に調印していたが、ソ連邦の崩壊に伴い、条約の継承国は米国とロシア、ベラルーシ、カザフスタン、ウクライナとなり、条約の批准は、ソ連邦の崩壊により1994年まで遅延した。

 旧ソ連の核弾頭については、ベラルーシなどからロシアに移送され、ロシアがその解体作業を行った。2001年までに米ロ両国は、弾頭数の削減が終了したことを宣言したが、その骨子は、(1)米ソは保有する戦略核弾頭数の上限を6000発に、ICBM、SLBM、戦略爆撃機などの運搬手段は1600基・機に削減する、(2)弾道ミサイルに装着した核弾頭数も4900発に制限する、(3)条約履行の確認のために査察・監視を実施する、などというものであった。これらは、条約発効後7年で達成されるとしていた。新条約は、上記のSTART1の規制を、さらに強化したものとなっている。

 焦点は、ミサイル防衛(MD)などの米国の戦略防衛兵器の規制をどうするかだったが、この点は交渉当事者の間で解釈が分かれたまま、残された。ホワイトハウスは「現在および今後のMD計画の実験、開発、配備に対するいかなる規制も含まれない」と説明しているが、ロシア側は「新条約では戦略攻撃兵器と戦略防衛兵器の関連性に関する条項が、法的拘束力を持つ文言で盛り込まれた」とだけ述べ、MDという文言には言及を避けた。要するに、米国もロシアも、言葉をいじくって深入りすることを避け、ともかくも新核軍縮条約で合意し、無条約状態を避けたいとする意向が働いたわけだ。調印後に問題が発生した場合は、状況に応じて対応するということだろう。
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