国際問題 外交問題 国際政治|e-論壇「議論百出」
ホーム  新規投稿 
検索 
お問合わせ 
2010-03-05 21:58

舛添要一氏のスピーチに思う

入山 映  サイバー大学客員教授・(財)国際開発センター研究顧問
 外国特派員協会のプロフェッショナル・ランチョンで舛添要一氏のスピーチを聞く機会があった。内容は、先の参院選敗北の原因分析から、自民党新生(再生なんぞをしてはダメで、生まれ変わるしかないという)への方向性、さらに当面の政局についてのコメントというのが、おおよその構成だった。

 「族議員を核とする政官財のトライアングルに安住したのが自民党敗北の理由で、これは特定利益集団にだけ奉仕していれば足りる、という中選挙区制を前提にするものだった。だから一人の勝者しか存在しない winner takes allの小選挙区制には、体質的に対応できない。一般に向けてのコミュニケーション能力が政治家に問われる時代になっていることを認識すべきだ」とする。この辺りまでは、余り耳新しい話ではない。ただ、舛添氏は「比例代表制の拡大導入と中選挙区制の限定的復活が望ましい」とする。そして、民主党の経済政策の不在を論難した後に、「日本の活力は、産業界の世界市場における復権によってもたらされる」とし、「そのためには、法人税制の見直し(韓国に較べて2倍。これではみんな海外に出て行ってしまう。雇用が増える訳がない)あるいは自由貿易協定(FTA)の拡大(農業のバラ撒き補償による保護などをしている時代ではない。市場原理下で生存できる農業に向けての施策を考えるべき)といった政策が肝要だ」とする。

 さらに面白かったのは、「期待される首相として、舛添自身が20%を超える人気がある」ことを指摘された後に、「同じ調査で、谷垣氏が常に1%程度の支持しか集めない」ことに言及。「自民党が総裁を取り替えなければ、党に留まる気はない。のみならず、例えば法人税見直しなどの彼の基本政策に旧態依然たる族議員が反対するようならば、党を割って飛び出す」と明言したことだった。

 ちなみに彼は、この1時間半のセッションを英語で通した。流暢とは言い兼ねるものの、馬力で通じさせてしまう同氏の英語力は尊敬に値する。ただし、ちょっと込み入った話、例えば「消費税について議論をする必要があるというのが持論であると聞いている。それなのに菅蔵相の消費税に対する言及を非難するというのはどういう訳か」という質問に対しては、「参院選を控えたこの時期に、消費税に言及するというのは、財務省の役人に言わされたとしか思われない」としか答えられない。日本語だったらもっと上手に答えられたろうに、なまじ英語が出来るのも良し悪しの面もあるのかな、と思ったりもしたことだった。日本から生きの良い特派員がいなくなって久しい。今回もそうだったが、このクラブでの質疑応答の内容と質問者の顔ぶれに、改めてこの国はもはや世界の関心対象ではないのだな、と痛感する。
お名前は本名、またはそれに準ずる自然な呼称の筆名での記載をお願いします。
下記の例を参考にして、なるべく具体的に(固有名詞歓迎)お書き下さい。
(例)会社員、公務員、自営業、団体役員、会社役員、大学教授、高校教員、大学生、医師、主婦、農業、無職 等
メールアドレスは公開されません。
ただし、各投稿者の投稿履歴は投稿時のメールアドレスにより抽出されます。
投稿記事を修正・削除する場合、本人確認のため必要となります。半角10文字以内でご記入下さい。
e-論壇投稿の際の注意事項

1.投稿はいったん管理者の元へ送信され、その確認を経てから掲載されます。
なお、管理者の判断によっては、掲載するe-論壇を『議論百出』から他のe-論壇『百花斉放』または『百家争鳴』のいずれかに振り替えることがありますので、予めご了承ください。

2.投稿された文章は、編集上の都合により、その趣旨を変えない範囲内で、改行や加除修正などの一定の編集ないし修正を施すことがありますので、予めご了承ください。

3.なお、下記に該当する投稿は、掲載をお断りすることがありますので、予めご了承ください。

(1)公序良俗に反する内容の投稿
(2)名誉や社会的信用を毀損するなど、他人に不快感や精神的な損害を与える投稿
(3)他人の知的所有権を侵害する投稿
(4)宣伝や広告に関する投稿
(5)議論を裏付ける根拠がはっきりせず、あるいは論旨が不明である投稿
(6)実質的に同工異曲の投稿が繰り返し投稿される場合
(7)管理者が掲載を不適切と判断するその他の理由のある投稿


4.なお、いったん投稿され、掲載された原稿の撤回(全部削除) は、原則として認めません。
とくに、他人のレスポンス投稿が付いたものは、以後部分的であるか、全部的であるかを問わず、いかなる削除も、修正もいっさい認めません。ただし、部分的な修正については、それを必要とする事情に特別の理由があると編集部で認定される場合は、この限りでありません。

5.投稿者は、投稿された内容及びこれに含まれる知的財産権(著作権法第21条ないし第28条に規定される権利を含む)およびその他の権利(第三者に対して再許諾する権利を含む)につき、それらをe-論壇運営者に対し無償で譲渡することを承諾し、e-論壇運営者あるいはその指定する者に対して、著作者人格権を行使しないことを承諾するものとします。

6.投稿者は、投稿された内容をその後他所において発表する場合は、その内容の出所が当e-論壇であることを明記してください。

 注意事項に同意して、投稿する
記事一覧へ戻る
グローバル・フォーラム