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2010-01-06 13:50

(連載)2010年は日本の将来を考える節目(2)

若林 秀樹  元参議院議員
 昨年末に鳩山首相は「憲法改正に向けた議論を進めるべき」と述べて波紋を呼んだ。しかし国会では、憲法調査会の下で、2005年に憲法改正に向けた報告書がすでに提出されている。民主党も幅広い憲法改正に向けた「憲法提言」を発表した。私もその中で、人権を中心とした第3章「『人間の尊厳』と共同の責務の確立を目指して」の担当責任者として、草案作成に深く関わった。

 その頃には、少なくとも社民党も含めて国会では、憲法改正に向けた論議が活発に行われていたのだが、戦後レジームの脱却や集団的自衛権の解釈見直しを声高に訴えた安倍首相の退陣と共に、憲法改正へのモメンタムが消えてしまった。しかし現在も、憲法調査会を設置した意義は全く消えうせていない。衆参で憲法審査会、憲法調査会は依然として存続しており、改めて憲法のあり方について幅広く国民と共に議論を再開すべきである。

 そして新日米安保条約については、本年9月に締結50周年を迎える。改めて日本の安全をどう守るのか、国民と共に日本の安全保障政策を考えるきっかにすべきである。この条約を破棄するのか、継続するのか、継続するにしてもこの条約に新たな使命を持たせるような再定義を行うのかは、国民の選択である。タブーなき議論を期待したい。現下の国際情勢、日本を取り巻く安全保障上の脅威等を総合的に考えれば、自ずと答えは出るであろう。そうすれば、普天間基地移設問題等についても、どのような結論にせよ国民の合意はより得られやすいはずだ。

 重要なことは、国のあり方を規定する現行憲法や日米安保に関して、所与のものはとせず、そのあり方について思考停止になってはならないことである。その議論をせずして、関連する税制や社会保障、地方分権のあり方、普天間基地の問題等を議論しても、国民の理解に基づく合意は見出しにくい。いわば国家像を見出す作業が必要だ。いつもミクロの議論ばかりしていると、角を矯めて牛を殺すことになりかねない。2010年、改めて骨太の議論をしよう。(おわり)
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