国際問題 外交問題 国際政治|e-論壇「議論百出」
ホーム  新規投稿 
検索 
お問合わせ 
2009-12-25 18:16

(連載)普天間基地問題と外交(1)

湯下 博之  杏林大学客員教授
 普天間基地の移設問題をめぐって日米関係が大きく揺れている。日米同盟と言われる緊密な日米関係の根底をくつがえしかねないような深刻な問題となっており、国民として、政府のお手並み拝見といった他人事では済まされない問題となっている。この問題をめぐる動きを見ていると、外交というものについて、種々考えさせられてしまう。

 第一に、外交における一国の政治指導者の考え方や行動、及び外国の政治指導者との間の関係の重要性についてである。かつて、小泉首相時代に、日米関係は極めて良好であったが、それは、小泉首相が米国のブッシュ大統領との間に極めて良好な個人的信頼関係を築いていたことによるところが大きかった。他方、その小泉首相が靖国神社参拝をやめなかったことにより、中国や韓国の指導者との関係は疎遠になり、日本と両国との政治関係は冷却した。今回も、問題の中心は、鳩山首相の考え方がはっきりしないことや、言動が揺れ動いたために、米国の指導者との関係がしっくり行かず、信頼関係が失われつつあるとまで言われていることである。

 第二に、外交における信頼関係の重要性についてである。外交はだまし合いであると考えたり、言ったりする人がいるが、それは敵対国間についてのことであって、友好国間においてはそうではない。敵対国といえども、関係改善を図る段階になれば、信頼関係を醸成しなければ、うまく行かない。今回の問題で最も深刻なのは、鳩山首相の上記の態度が災いして、米国指導者達の間で日本の指導者に対する信頼が失われつつあると伝えられることである。筋の通った議論をするのはよいが、不審を招くような言動は厳に避ける必要がある。

 第三に、外交と内政の関係で、内政を優先させることの問題についてである。外交は内政を離れては行い得ず、内政を無視して外交を行うことが出来ないのは、事実である。各国共、内政上の理由で外交上好ましくないことをする例はあるが、多くの場合、その結果として、大きな問題や禍根を残している。内政と外交をすり合わせる策が最上であるが、それが出来ない場合は、よくよく考えて、種々手を打ちながら行動することが大切であり、単純な選択の問題とすべきではない。

 これに関連して、普天間基地移設問題に関して「民意」を尊重するということが言われるが、ここでいう「民意」が基地に関係する地域の人達の意向ということであるなら、問題である。何故なら、地元に基地が設置されることに反対するのは日本中どこでも同じであり、このことは、ゴミ焼却場の設置と同じ問題である。なくては生活が成り立たないが、自分の住んでいる区域に設置することには反対という意見は自然なものである。しかし、どこかに作られなければならない。では、どこに作るかという問題である。因みに、在日米軍基地が沖縄に集中している問題は検討を要するが、この問題と日米間で既に合意済みの移設の実施とは分けて考えないと、道を誤ることになる。(つづく)
お名前は本名、またはそれに準ずる自然な呼称の筆名での記載をお願いします。
下記の例を参考にして、なるべく具体的に(固有名詞歓迎)お書き下さい。
(例)会社員、公務員、自営業、団体役員、会社役員、大学教授、高校教員、大学生、医師、主婦、農業、無職 等
メールアドレスは公開されません。
ただし、各投稿者の投稿履歴は投稿時のメールアドレスにより抽出されます。
投稿記事を修正・削除する場合、本人確認のため必要となります。半角10文字以内でご記入下さい。
e-論壇投稿の際の注意事項

1.投稿はいったん管理者の元へ送信され、その確認を経てから掲載されます。
なお、管理者の判断によっては、掲載するe-論壇を『議論百出』から他のe-論壇『百花斉放』または『百家争鳴』のいずれかに振り替えることがありますので、予めご了承ください。

2.投稿された文章は、編集上の都合により、その趣旨を変えない範囲内で、改行や加除修正などの一定の編集ないし修正を施すことがありますので、予めご了承ください。

3.なお、下記に該当する投稿は、掲載をお断りすることがありますので、予めご了承ください。

(1)公序良俗に反する内容の投稿
(2)名誉や社会的信用を毀損するなど、他人に不快感や精神的な損害を与える投稿
(3)他人の知的所有権を侵害する投稿
(4)宣伝や広告に関する投稿
(5)議論を裏付ける根拠がはっきりせず、あるいは論旨が不明である投稿
(6)実質的に同工異曲の投稿が繰り返し投稿される場合
(7)管理者が掲載を不適切と判断するその他の理由のある投稿


4.なお、いったん投稿され、掲載された原稿の撤回(全部削除) は、原則として認めません。
とくに、他人のレスポンス投稿が付いたものは、以後部分的であるか、全部的であるかを問わず、いかなる削除も、修正もいっさい認めません。ただし、部分的な修正については、それを必要とする事情に特別の理由があると編集部で認定される場合は、この限りでありません。

5.投稿者は、投稿された内容及びこれに含まれる知的財産権(著作権法第21条ないし第28条に規定される権利を含む)およびその他の権利(第三者に対して再許諾する権利を含む)につき、それらをe-論壇運営者に対し無償で譲渡することを承諾し、e-論壇運営者あるいはその指定する者に対して、著作者人格権を行使しないことを承諾するものとします。

6.投稿者は、投稿された内容をその後他所において発表する場合は、その内容の出所が当e-論壇であることを明記してください。

 注意事項に同意して、投稿する
記事一覧へ戻る
グローバル・フォーラム