国際問題 外交問題 国際政治|e-論壇「議論百出」
ホーム  新規投稿 
検索 
お問合わせ 
2009-07-18 09:42

(連載)ドイツの疑問、日本の回答(3)

岩國 哲人  衆議院議員
 では、「NO」をドイツから習った民主党は、何に対して「NO」を言うのか。ひとつは、アメリカがインドの核保有を容認したことに対してである。2008年にアメリカは核拡散防止条約(NPT)非加盟のインドへの核関連技術の禁輸を解除し、YESしか知らない自民党政権はそれを追認した。しかしながら、唯一の被爆国であり、平和憲法を掲げる日本こそ、この米国の決定に「NO」というべきだったと考える。

 第二は、自衛隊のイラクへの派兵要請です。日本は憲法上、解釈によっても自衛目的以外で海外に自衛隊を派遣することは不可能であり、日本は「憲法の許す範囲内でなら協力をする」とアメリカにきっぱりと伝えるべきだ。加えて、いまの日本国憲法はGHQの統治下で日本とアメリカが一緒に作成したものであり、その事情を知るアメリカ自身が無理な要請をすべきではないと思う。民主党は、派遣には二つの要件を満たす必要があると考えている。それは国連からの正式な要請と世論の同意だ。仮に民主党政権が樹立されたとき、この二点が揃うかどうかで、補給船の継続の可否は判断されることになる。

 日本が目指している国連安全保障理事会の常任理事国入りや、直近の課題である北朝鮮問題について、同様なことがいえる。常任理事国入りに関して、民主党の方針としては、過去にマニフェストにも記載している通り「常任理事国入りし、更なる国際貢献をすべきである」と考える。しかし、私見を述べさせていただくと、私は常任理事国入りを求める前に、まずやるべきことがあると考える。先に述べた「NOと言える」日本、自分の意見を持つ日本になり、世界各国から信頼と尊敬の念を持たれる国になるように努めるべきだ。その上で、国連憲章に記載されている敵国条項の削除と、陸海空軍を持たない、軍事力を放棄したままでの常任理事国入りが可能であるならば、堂々と常任理事国になればよいと思っている。

 北朝鮮問題に関しては、核問題というグロ-バルな問題に加え、日本には拉致問題というこれまた重大な問題を抱えている。核問題に関しても、日本は唯一、核の被爆経験を持つ国として決して許せるものではない。しかし、現状として、北朝鮮はこのような日本の主張を真剣に聞くこともなく、アメリカの方を向いている。アメリカと話をつけさえすれば、そのAGENTである日本は、結局追認するという思惑があるのでしょうか。これこそ、自民党政権下の日本が「NO」を学んでこなかったことの弊害の具体例であり、我々民主党は「NO」をドイツというよきお手本から学ぶべきだと思う。(おわり)
お名前は本名、またはそれに準ずる自然な呼称の筆名での記載をお願いします。
下記の例を参考にして、なるべく具体的に(固有名詞歓迎)お書き下さい。
(例)会社員、公務員、自営業、団体役員、会社役員、大学教授、高校教員、大学生、医師、主婦、農業、無職 等
メールアドレスは公開されません。
ただし、各投稿者の投稿履歴は投稿時のメールアドレスにより抽出されます。
投稿記事を修正・削除する場合、本人確認のため必要となります。半角10文字以内でご記入下さい。
e-論壇投稿の際の注意事項

1.投稿はいったん管理者の元へ送信され、その確認を経てから掲載されます。
なお、管理者の判断によっては、掲載するe-論壇を『議論百出』から他のe-論壇『百花斉放』または『百家争鳴』のいずれかに振り替えることがありますので、予めご了承ください。

2.投稿された文章は、編集上の都合により、その趣旨を変えない範囲内で、改行や加除修正などの一定の編集ないし修正を施すことがありますので、予めご了承ください。

3.なお、下記に該当する投稿は、掲載をお断りすることがありますので、予めご了承ください。

(1)公序良俗に反する内容の投稿
(2)名誉や社会的信用を毀損するなど、他人に不快感や精神的な損害を与える投稿
(3)他人の知的所有権を侵害する投稿
(4)宣伝や広告に関する投稿
(5)議論を裏付ける根拠がはっきりせず、あるいは論旨が不明である投稿
(6)実質的に同工異曲の投稿が繰り返し投稿される場合
(7)管理者が掲載を不適切と判断するその他の理由のある投稿


4.なお、いったん投稿され、掲載された原稿の撤回(全部削除) は、原則として認めません。
とくに、他人のレスポンス投稿が付いたものは、以後部分的であるか、全部的であるかを問わず、いかなる削除も、修正もいっさい認めません。ただし、部分的な修正については、それを必要とする事情に特別の理由があると編集部で認定される場合は、この限りでありません。

5.投稿者は、投稿された内容及びこれに含まれる知的財産権(著作権法第21条ないし第28条に規定される権利を含む)およびその他の権利(第三者に対して再許諾する権利を含む)につき、それらをe-論壇運営者に対し無償で譲渡することを承諾し、e-論壇運営者あるいはその指定する者に対して、著作者人格権を行使しないことを承諾するものとします。

6.投稿者は、投稿された内容をその後他所において発表する場合は、その内容の出所が当e-論壇であることを明記してください。

 注意事項に同意して、投稿する
記事一覧へ戻る
グローバル・フォーラム