国際問題 外交問題 国際政治|e-論壇「議論百出」
ホーム  新規投稿 
検索 
お問合わせ 
2009-04-30 09:40

議員世襲制の是非は、結局は有権者の判断すべきこと

入山 映  サイバー大学客員教授・(財)国際開発センター研究顧問
 二世・三世議員は同じ選挙区からは立候補させない、という菅義偉自民党選対部長の発言が波紋を呼んでいる。民主党はいち早く同様のアイディアをマニフェストに盛り込むという。この問題を、政治家という職業が世襲制になることの是非、と速断する前に考えてみた方が良い2、3の問題点があるように思う。一つは世襲候補者が不当に有利である、という指摘だ。三バンといわれるものを継承すれば、新顔の候補に比して圧倒的に有利なことは否めない。それが新しい血の流入を妨げ、4割近い衆議院議員が世襲という異常事態をもたらしている。要するにフェアなルールに基づいて有能な人物を発掘するのに妨げになっている、ということだ。

 しかし同時に、投票するのは有権者に他ならず、もしかして世襲制に批判があるというのなら、その判断は有権者に委ねれば良いのであって、妙に事前にあれこれ忖度する必要がどこにあるのか、という意見も存在する。世襲の禁止とか、二世・三世の同一選挙区からの立候補回避というのは、まさか選挙法に明定する訳にもゆくまい。それこそ職業選択の自由という憲法上の問題にもなろうし、ひょっとすると法の下の平等にも反するかもしれない。だから、これはあくまでも任意の集合体である政党の自主的な内部同意以上のものにはなり得ないと思う。各政党がこの問題についてどのような結論を持ったか。それを選挙民がどう評価するか、ということだ。

 しょせん最後は選挙民の判断に待つのならば、なにをこちゃこちゃ言う必要があるのか、という先に述べたような意見もあろう。あるいは現在の政治のありようを変えるためには、殻を打ち破ってみなければならない、と考える人もいるだろう。政治家という職業が事実上世襲制になってしまう、というのは異常だから、とにかくなんとかすべきだ、というのも一つの立場である。

 自民党菅氏の提言を、同党の体質に対する深刻な危機感と、それに対する即効性ある処方、と見ると話は解り易くなる。民主党の方は、自民党がいやがることは進んで行ったり、しんにゅうをかけたりするところもあるから、真意は不明だが、真意はどこにあれ、よいことはよい、という見方ももちろん可能だ。どちらにしても、両党が、またそれぞれの議員が、どのような態度を表明するのかを拝見してから、われわれは投票することになる。とはいえ、久々の高投票率だったといわれる名古屋市長選が50%だ、というのでは、それも虚しい、ということにならねばよいのだが。
お名前は本名、またはそれに準ずる自然な呼称の筆名での記載をお願いします。
下記の例を参考にして、なるべく具体的に(固有名詞歓迎)お書き下さい。
(例)会社員、公務員、自営業、団体役員、会社役員、大学教授、高校教員、大学生、医師、主婦、農業、無職 等
メールアドレスは公開されません。
ただし、各投稿者の投稿履歴は投稿時のメールアドレスにより抽出されます。
投稿記事を修正・削除する場合、本人確認のため必要となります。半角10文字以内でご記入下さい。
e-論壇投稿の際の注意事項

1.投稿はいったん管理者の元へ送信され、その確認を経てから掲載されます。
なお、管理者の判断によっては、掲載するe-論壇を『議論百出』から他のe-論壇『百花斉放』または『百家争鳴』のいずれかに振り替えることがありますので、予めご了承ください。

2.投稿された文章は、編集上の都合により、その趣旨を変えない範囲内で、改行や加除修正などの一定の編集ないし修正を施すことがありますので、予めご了承ください。

3.なお、下記に該当する投稿は、掲載をお断りすることがありますので、予めご了承ください。

(1)公序良俗に反する内容の投稿
(2)名誉や社会的信用を毀損するなど、他人に不快感や精神的な損害を与える投稿
(3)他人の知的所有権を侵害する投稿
(4)宣伝や広告に関する投稿
(5)議論を裏付ける根拠がはっきりせず、あるいは論旨が不明である投稿
(6)実質的に同工異曲の投稿が繰り返し投稿される場合
(7)管理者が掲載を不適切と判断するその他の理由のある投稿


4.なお、いったん投稿され、掲載された原稿の撤回(全部削除) は、原則として認めません。
とくに、他人のレスポンス投稿が付いたものは、以後部分的であるか、全部的であるかを問わず、いかなる削除も、修正もいっさい認めません。ただし、部分的な修正については、それを必要とする事情に特別の理由があると編集部で認定される場合は、この限りでありません。

5.投稿者は、投稿された内容及びこれに含まれる知的財産権(著作権法第21条ないし第28条に規定される権利を含む)およびその他の権利(第三者に対して再許諾する権利を含む)につき、それらをe-論壇運営者に対し無償で譲渡することを承諾し、e-論壇運営者あるいはその指定する者に対して、著作者人格権を行使しないことを承諾するものとします。

6.投稿者は、投稿された内容をその後他所において発表する場合は、その内容の出所が当e-論壇であることを明記してください。

 注意事項に同意して、投稿する
記事一覧へ戻る
グローバル・フォーラム