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2009-03-10 08:09
「小沢後継」は岡田克也しかあるまい
杉浦正章
政治評論家
西松建設をめぐる一連の疑惑で民主党代表・小沢一郎は世論調査で外堀を完全に埋められ、側近らの離反もみられて、内堀も埋まり始めている。党内では後継をめぐるうごめきが生じている。「土建政治にどっぷり漬かったかのような小沢」(朝日新聞10日付け社説)と、全く“対極”にあるのが副代表・岡田克也だ。潔癖症と言っても良いほどのクリーン。その岡田が有力後継候補に挙がっている。自民党内には「岡田が後継だと、麻生も替えざるを得ない」(閣僚経験者)という声すら生じている。岡田はショッピングセンター「イオン」の御曹司。2004年に一度代表に就任している。同年7月の参議院通常選挙では自由民主党を1議席上回る50議席を獲得、2005年都議会議員選挙でも民主党を躍進させている。意外に選挙に強いのだ。持って生まれた「真面目」「誠実」さが特徴。贈り物などは一切受け取らず、贈答品の伊勢エビを腐らせた話は有名だ。
政治記者との会合も一切割り勘。会合から議員宿舎に帰るとき、タクシーに4人で乗り合わせた政治記者に、800円の料金のうち200円を支払って降りた。最高顧問・渡部恒三にも可愛がられている。渡部が岡田を幹事にして若手を集めて会合を開いた際に渡した経費を、10年後になっても、「あの時余った1万3000円をどうしましょうか」と相談してくるという。まさに「小沢疑惑」の後継にはもってこいの政治家だが、小沢が辞任した場合、例によって寄り合い所帯の内紛が生じかねない雰囲気もある。小沢を支えてきた代表代行・菅直人と幹事長・鳩山由紀夫が「そわそわし始めた」といわれているのだ。汗水垂らして支えてきたのだからという思いが、両者には濃厚なようだ。しかし両者に共通する欠陥は、小沢疑惑が生じた直後に小沢支持を表明してしまったことだ。
鳩山に至っては、いったん「新たな事実が判明した際には、新たな展開が生じる」と軌道修正したにもかかわらず、9日には「今の状況であれば、信頼し、一緒に行動する」と事実上撤回している。風向きが自民党批判に転ずるのを期待してのことだろうが、このケースでは、自民党は「巨悪」とは言えまい。自民党は「中悪」、小沢は「巨悪」に位置づけられる。したがって世論の批判は、第一義的には民主党にまず向くのだ。民主党全体から見れば、ここは小沢を説得して辞任させるべき場面なのだが、逆に“一蓮托生”路線を選んでしまったのだ。その2人を後継に選んだ場合、民主党への風向きが変わると思うのは甘い。風向きを変えるには心機一転、クリーン・イメージでの「党再生」しかないのである。
妥協案として、代表を設けずに菅、鳩山、岡田のトロイカ体制で当面を乗り切ろうという苦肉の策もささやかれているが、これも「再生」にはほど遠い。総選挙を目前に控えている以上「刷新イメージ」が不可欠なのだ。幸い民主党に残った財産は、政党支持率が微減にとどまっており、首相・麻生太郎の支持率が上がらないことだ。「小沢問題」に焦点を絞って対処すれば、国民の支持は維持できるだろう。少なくとも小沢の場合、秘書が起訴され、公判中の総選挙となる可能性が強く、選挙の顔に出来るわけがない。後継代表には小沢の息のかかっていない岡田でいく選択しかまずないのだ。もちろん首相としての座りを考えても、泥まみれの首相というわけにはいかない。小沢が本当の政治家なら後継を岡田に譲ると宣言して、潔く身を引く場面だ。
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