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2008-12-15 10:18
「環境ワースト・ワン」への旅からの提案
岩國 哲人
衆議院議員
6月に訪れた中国山西省を再び訪れて、3日間の視察と12月から客員教授を引き受けることになった山西大学で第1回の講義を終え、12月11日に帰国しました。山西大学は、南開大学などの私立大学と異なり、1902年当初から、北京大学、北洋大学(現・天津大学)とともに三大国立大学として創立されました。環境問題で山西省を私が2度も訪れるのは、山西省が世界で最も環境に優れている地域だからというのではなく、全くその逆に、世界の環境ランキングでワーストに選ばれているのが山西省だからです。環境委員会の筆頭理事を務めているという国会での責任感と問題意識から、私は山西省に非常に注目しています。
現在の山西省は、石炭の海に浮かんでいると形容されるほどに、石炭の産地として名高い所です。中国の急速な経済開発は、そのエネルギー源として山西省の石炭に大きく依存し、石炭産業は省の基幹産業となっていますが、石炭の多用は、原始的な露天掘りとコークス化が省内各地で行われた結果、深刻な大気汚染も同時に引き起こし、省内の都市が世界銀行や、『フォーブス』誌など各種調査で世界の「環境ワースト・ワン」に指定されています。そこへ地球温暖化に伴う食糧危機への取り組みという新しい課題が急浮上し、山西省は環境、エネルギー、農業という三大課題を同時に解決しなければならないという、まさに未曾有の政治的実験に取り組まざるを得ないことになりました。
私が6月に山西省を訪れた時は、李小鵬副省長はまだ着任したばかりでしたが、李副省長の父は李鵬元首相で、幼いころに革命戦争の中で父親を亡くし、周恩来夫妻に育てられたことは有名です。いわば、李小鵬さんは周夫妻の義理の孫にも当たります。いずれ山西省のトップに立つ人と目され、山西省の三大課題であるエネルギー、環境、農業を軌道に乗せることができれば、北京の中央政府のトップになるひとという予測すらあります。そこで私が提案したいのは、既に北京で稼働中の日中友好環境保全センターを一部分離・拡充して、山西省に環境保全研究センターを日中共同で設置し、地球温暖化対策に、そして世界の食糧問題解決に役立たせてはどうかというものです。日中友好の新時代は、1978年の周恩来首相と福田赳夫首相の手で実現し、それから10年後の1988年に日中友好10周年を記念して調印されたのが、日中環境保全センターです。今年はそれから20年です。
この日中環境協力が、李鵬首相と竹下首相で結ばれたという縁もありますから、竹下総理と同じ島根出身の斉藤大臣の時代に、ぜひ山西省に研究センターを置いて、アジア全域の地球温暖化対策の研究調査あるいは訓練、アジアの若い人たちがそこで勉強し、調査し、実践し、訓練し、それぞれの国へ帰って、この地球を守る運動に参加するような、そういう壮大な夢が第2段階として必要ではないでしょうか。私は、11月21日の環境委員会でも斎藤環境相に質問し、提案しました。斉藤環境相は、山西省を環境省のコベネフィット・アプローチの有力な候補地の一つとして検討したいとの趣旨の答弁をされました。
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