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2008-10-02 07:44
民主党のアキレス腱財源問題が露呈
杉浦正章
政治評論家
衆院本会議における代表質問は、民主党代表・小沢一郎が首相・麻生太郎の“逆質問”に答えず、すれ違いに終わった。ところが、小沢の示したマニフェストの財源問題で財務金融相・中川昭一が実現不可能の根拠を初めて詳細に明示し、民主党のアキレスけんが改めて露呈される結果となった。新聞論調も財源への疑問を投げかけている。思わぬ伏兵で、麻生・小沢対決は6対4で麻生有利に終わった。また、同日の本会議で何より注目されたのは、他でもない小沢の本会議場退場だ。自民党幹事長・細田博之の質問となると、なぜか退出した。15分間民主党役員室で休憩を取っていたという。かねてから小沢は持病の心臓病のため本会議欠席が目立つが、わずか20分の質問で休憩を取らなければならない体力、精神力とはどういうものか。あらためて小沢に国会に貼りつけになる首相が務まるのか、気になるところだ。
中川反論は、どの新聞も詳しく報じていないが、重要だ。小沢は、ばらまき批判がある各種施策の財源について、必要な20.5兆円の財源は、埋蔵金、特別会計の積立金を活用し、国の総支出を組み替えることで、2012年度までに段階的につくりだすとした。これに対して中川は、民主党マニフェストがすべて恒久的施策である点を指摘、「そのためには恒久的財源が必要だが、埋蔵金や特別会計の積立金など一時的財源をあてにしており、財源が手当てされたとは言い難い」と反論。小沢の地方向け補助金の一括交付金化については、「地方向け補助金の75%は社会保障費や教育関係費であり、歳出削減は考えにくい」と。また、国の総支出組み替えについては、「国の純支出の8割以上は、国債費、社会保障費、地方の財源、財政投融資の貸し付け減資であり、削減は困難。残りの30兆円は教育、科学技術、防衛、公共投資が大半であり、22兆円もの財源を捻出(ねんしゅつ)すれば、国民生活に大きな支障を来す」と事実上実現不可能である事を強調した。
やりとりを受けた2日の新聞各社の社説も、読売新聞が「財源の裏付けがあいまいな点はあまり変わらない。支出の8割以上は国債償還、社会保障給付などで、削減は困難だ。特別会計の埋蔵金も恒久的財源にはならない」と疑問を呈した。毎日新聞も「内訳などは依然として明確でない。特に埋蔵金は何をどの程度あてこんでいるか不明なうえ、新規政策への充当が好ましくない一時的財源だ。これでは財源の裏打ちができたとは言い難い」と批判している。民主党に同情的な朝日新聞ですら「ざっくりした数字をあげたに過ぎず、不明な点も多い」と指摘。それでも、「民主党の政策は財源があいまいだという与党の批判や、国民の不安に応えようという思いは伝わってくる」と苦しい“エール”を送っている。子供手当や高速道路の無料化など、国民の耳に響きやすい民主党選挙公約の財源問題は、かねてからのばらまき批判があるところだが、批判を受けての同党の“理論武装”がこの程度では、マニフェスト自体に相当の無理があることを物語っている。予算委討論では、さらに詳細な指摘が行われるとみられ、民主党の説明によっては責任政党の質が問われる。
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