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2008-10-01 18:57
今こそ企業の自社株買いを
岩國哲人
衆議院議員
私は、米国、欧州、日本の三大金融資本市場で10年ずつ、証券・金融・銀行業務を経験してきました。9月29日のニューヨーク株式市場でダウ平均が一日で777ドル(6.979%)の下落で取引を終え、史上最大の下落幅を記録しました。NYダウ平均がこれまでに記録した1日の最大下落幅は、2001年の米同時テロ後初めての取引日である9月17日に記録した684ドルでした。この日の下落幅はこれを約93ドル上回り、ダウ平均の終値は2005年10月以来、約3年ぶりの低い水準に落ち込みました。米国発の世界連鎖株安は30日の東京株式市場を直撃し、日経平均株価の下げ幅は一時580円を超え、取引時間中としては2005年6月9日(1万1148円)以来約3年3カ月ぶりの水準に落ち込みました。
今から11年前の1987年10月19日、ニューヨーク株式市場が過去最大規模で暴落しました。ダウ平均が508ドル、率にして22.6%も下がり、ブラック・マンデーと呼ばれました。しかし、その後の金融当局による適切な対応と、IBM、GM、メリルリンチなど大企業が積極的に自社株の購入の発表をしたため、一般投資家の信用不安に基づく動揺売りも減少し、翌20日の株価は一転して102ドルの上昇をしました。株価を安定させる効果をもたせるため、国会で法改正を行ない、2001年10月以降、自社株買いが認められるようになりました。経営状況や株式の価値を最もよく知っているはずの発行会社自身による自社株買いは、政府や金融機関のアクションよりも、株式市場を覆う不安を解消する効果があります。自社株買いを行なう企業は、先行きの業績見通しについて自信を持っていると考えられるからです。
現在のように、日本企業の依って立つ資本主義の基盤を壊しかねない不安と動揺のときにこそ、各企業に自社株の購入を要請し、金融市場の安定に協力をとりつけるべきです。政府・与党の緊急経済対策は、なぜ企業、特に大企業に協力・行動を要請しないのでしょうか。緊急経済対策の「緊急」を言うのであれば、まさに世界的混乱の渦中にある資本市場の危機に先手を打つために、企業にも協力を要請し、一般投資家の不安を鎮めることこそ「緊急」ではありませんか。
政府は、大企業の減税の陳情に耳を傾けるだけでなく、金融不安は、一般投資家や年金運用等多くの国民の資産の減少をもたらし、そのマイナスの影響は株式を持たない人たちにも及び、日本経済の立ち直りをますます困難にする、という認識に立った「緊急」経済対策をなすべきではありませんか。NY株式市場は777ドルの暴落のあと、485ドルの値上がりを記録し、東京では10月1日の日経平均が前日比136円の値上がりを示すなど、一時的な模様ながめの状況ですが、決して楽観できる環境ではありません。「国際社会に経済で貢献したい」という麻生総理の国連総会での演説を裏付けてみせるためにも、世界金融不安への日本の一手を示す時ではありませんか。
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