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2008-08-29 07:58
新党「改革クラブ」発足の意味
杉浦正章
政治評論家
「大変な背信行為」と民主党幹事長・鳩山由起夫が歯ぎしりしても、離合集散は政界の常、離党される方に問題があるのではないか。もともと新党「改革クラブ」結成の核である渡辺秀央は、代表・小沢一郎の側近であり、「側近ほど離反する」という“小沢学”の定理がピタリと当てはまっただけだ。ただねじれ解消の“一発逆転”に発展させるのは当面無理であり、衆院の総選挙結果との連動待ちの流れだろう。
小沢は民主党代表選挙への独走態勢を固めたところに衝撃を食らった形だ。泡沫(ほうまつ)以外は誰も立候補の声を上げない背景には、民主党内に政権を取ったら入閣したいという“いじましい”思いが横溢(おういつ)しているからである。党内は若手の間に政務次官人事にまで待望組が出ている。渡辺らの行動も“入閣待望組”であれば違っていただろう。
今後の焦点は、自民党によるさらなる切り崩し工作が進展するかどうかにかかっている。今回の“仕掛け人”は経済産業相・二階俊博や、前参院議員会長・青木幹雄らとされる。二人とも小沢の政治手法は知り尽くしており、代表選挙に専念する小沢の“虚”を突いた形となった。新党結成によって参院の勢力地図がどうなるかだ。「民主党・新緑風会・国民新・日本」による野党統一会派は3人減って117人になり、議長を除く過半数の121人に4人足りない。しかし共産党7人、社民党5人を加えた野党系会派は129人となり、参院での与野党逆転による「ねじれ国会」状況は変わらない。共産、社民のキャスチングボートの力は強くなるが、焦点となる「給油法案」の取り扱いでは野党の足並みはそろう方向であり、影響は出まい。
従って5人の新党では、与党寄りの姿勢を保っても、大勢に影響は出ない。さらなる切り崩しは難しい、と言う見方が支配的だ。今後は小沢も警戒して、たがを締め直しにかかるだろうから、参院の逆転構図をひっくり返すのは、容易ではあるまい。ポイントは、衆院選挙で与党が過半数を制した場合だ。その場合、参院民主党にねじれ解消のための仕掛けが激化し、当分政権与党になれないとみた民主党参院議員が自民党または受け皿としての「改革クラブ」になだれ込む可能性はある。衆院選挙次第という構図だ。政局への影響は、心理的効果はあっても、「物理的効果」は少ない。
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