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2008-05-27 09:22
民主党は「消費税増税」になぜ言及しない
杉浦正章
政治評論家
責任政党であるかどうかのメルクマールは、いまや後期高齢者医療制度問題と密接に絡む消費税増税に言及するかどうかだ。さすがに政府・与党内では消費税発言が相次いでいるが、民主党は明らかに総選挙を意識して、狡猾(こうかつ)にも口を拭っている。民主党などが提案した財源論なしの後期高齢者医療制度廃止法案の最大の欠陥は、そこにある。後期高齢者医療制度の解決策は、び縫策では国民に訴えやすい「廃止」論に勝てず、消費税増税前提の「廃止」に持ち込むしかない、と述べてきた。まだ一般論で、おそるおそるながら、ようやく政府・与党では消費税増税論議が台頭してきた。
厚労相・舛添要一は、現在の高齢者医療費11兆円の将来ののびを消費税で全額まかなうとした場合、2015年までは2%アップでまかなえるが、2025年以降は5%アップの必要がある、との試算を明らかにしている。もちろん「やる」とはいっていないが、明らかに解決策として検討している口ぶりだ。自民党税制小委員長の与謝野馨は「消費税を上げないで済ませると演説した方が楽に決まっている」、幹事長・伊吹文明は「総選挙では、どれだけ負担すればどれだけ夢が叶えられるか、明確に打ち出すべきだ」と総選挙のテーマとすべきであると踏み込んでいる。
こうした増税容認の財政再建派に対して、このところ「ポスト福田」への意欲を垣間見せている成長重視派の元幹事長・中川秀直は「『骨太の方針2006』をなし崩し的に修正するか、断固堅持するかが、今後の大きな結集軸になる」と牽制しているが、旗色は悪い。骨太方針に端を発する社会保障費の伸びの「2200億円毎年削減」目標は、事実上限界で破たんしそうであり、後期高齢者医療制度とも絡んで「小さな政府も場合によりけり」(中曽根康弘)との意見が強まりつつあるからだ。消費増税の是非を論ずるだけでも政府・与党は良心的だ。無責任なのは民主党だ。高齢者問題に限らず、同党の主張には基本に大衆幻惑のポピュリズムがある。
ガソリン税撤廃問題でも、大蔵省出身で財政のプロであるはずの民主党最高顧問・藤井裕久までが、財源を“節約”でまかなうなどと荒唐無稽(むけい)な発言を繰り返している。今回の高齢者医療制度を撤廃後に創設する新制度の財源をどうするかについても、民主党は、道路財源の一般財源化と天下り抑制でまかなえると主張する。まるでみのもんたの持論と違わない浅薄さだ。政府・与党は、後期高齢者医療制度がテーマとなりうる次期総選挙は、「財源展望なしの廃止」対「改善」でも「改善」が敗れる、ことを認識すべきだ。しかし「財源展望なしの廃止」と「将来の消費税増税前提の廃止」なら勝負になる。民主党が、大衆にこびを売る政治路線を転換することは、選挙前にはまずない。後期高齢者医療制度廃止論の最大の欠陥は、同党が消費税増税論議を、無責任にも知って知らないふりをしていることだ。逆手を取って政府・与党は「廃止」の共通土俵に立ってその欠陥をつくべきだ。
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