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2008-04-24 08:16
朝日新聞社説の「変節」
杉浦正章
政治評論家
新聞社の社説は過去の社説と一貫性を維持するものとばかり思っていたが、4月24日の朝日新聞の社説「道路暫定税率:再可決に説得力はあるか」は、過去の社説と大きく矛盾し、整合性に欠けている。3月の時点で暫定税率を維持すべきだと主張してきた同社の社説が、「再可決という強引な方法で暫定税率を復活させることに、説得力があまりに乏しい」に一変したのである。わずか一か月で「変説」したのは、なぜか。30日に与党が予定している再可決を牽制するとともに、再可決した場合に政府・与党を政局的に追い込む“布石”を、いまから打っているとしか思えない。
朝日新聞は3月22日付の社説で「国と地方の危機的な財政状況を考えれば、暫定税率は維持するしかない。その点で与党の案に私たちも同感だ」として、首相・福田康夫と与党が示した暫定税率維持、道路特定財源の一般財源化の方針に賛成の方針を打ち出した。同月29日の社説「民主党へ:福田提案を実らせよ」でも「ガソリン税など道路特定財源を2008年度で廃止し、09年度からすべて一般財源化する。そう踏み込んだ福田首相の新提案を、民主党が拒否する構えだ」と一般財源化を評価し、「意を決して一般財源化に踏み込んだ福田首相の提案を、民主党が拒むのはあまりにもったいない」と民主党をたしなめている。加えて「衆院議席の3分の2を使って暫定税率を元に戻す手もなくはないが」と再可決容認とも受け取れる表現をしている。
しかし4月24日の社説では、一定の条件を満たさない限り「暫定税率の復活は説得力に乏しい」となるのである。「暫定税率を維持するしかない」のなら、当然再議決が必要であり、決定的に論理矛盾している。また3月29日の社説で、09年度からの一般財源化を「踏み込んでいる」と評価したにもかかわらず、「一般財源化を09年度に先送りせず、できる範囲でいまから実施する」と即時実施に変わった。不可能とも言える条件を付けた。これでは全く整合性に欠けると言わざるを得ない。さらに ガソリンなどの税収を道路特定財源にすると定めた特例法案が、「特定財源を10年間延長する内容なので09年度から一般財源化する方針とつじつまが合わない」として、同法案を08年度限りに修正するか、廃案にする必要を強調している。
暫定税率維持にさまざまな“条件”を付けることに転換したわけだが、3月の暫定税率維持社説の時点で10年延長法案の存在は明らかになっており、この切羽詰まった段階で持ち出すのには何か思惑があるとしか思えない。おまけに政府・与党が決めた09年度からの一般財源化を実現させれば、同法案は1年で“自然消滅”するしかなく、つじつまはぴったりと合うのである。この朝日新聞の「変説」をどう見るかだが、おそらく30日の再可決を非難しようとすれば、いまから“布石”を打っておく必要があるからだろう。再可決を非難し、場合によっては内閣を解散か総辞職に追い込もうという流れと意図を感ずる。新聞社の社説は些事で変わることはやむをえないにしても、その根幹で変われば読者の信頼を一挙に失う。「変説」でなく「変節」となる。
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