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2008-04-01 08:17
新聞論調は、衆院再可決支持が大勢
杉浦正章
政治評論家
福田康夫首相が租税特別措置法改正案を衆院で再可決し、暫定税率を復活させる意向を表明した問題で、4月1日の世論がどう反応したかを見てみよう。各社の社説は、読売、産経、日経の各紙が全面支持、朝日、毎日両紙は態度を鮮明にせず、総じて「黙認・様子見」の構えだった。真っ正面からの反対は打ち出さなかった。衆院解散についても早期解散論はなく、これは「再議決→政局化」の政策を取る民主党路線に大きな痛手となろう。問題は民放のニュース・ショーだ。良識的な日テレのコメンテーターをのぞいては、総じて浅薄な値上げ反対論に彩られている。民主党代表の小沢一郎もそこを狙っている。主戦場はむしろ民放番組だろう。
まず首相の再可決発言に関して、朝日は「そうなれば、いったん下がったガソリン代がまた上がる。末端の市場や運輸業界などでの混乱は避けられないだろう」と述べるにとどまり、反対姿勢は打ち出さなかった。朝日は暫定措置法に対する民主党の態度をたしなめてきただけに、論旨は一貫せざるを得なかったものとみられる。同様に毎日も「与党内にも、衆院で再可決して税率を戻すためには相当の覚悟がいるとの声がある」と述べるにとどまった。これに対して読売新聞は、再可決について「首相はこれをためらうべきではない」と強調するとともに、「与野党の修正協議が不調に終わるなら、憲法の定める民主主義のルールに従って法案を再可決、成立させる――。こうした政治的な意思をはっきりさせておくことが肝要だ。それが、混乱を最小限に抑えることにつながる」と主張した。産経新聞も「政策協議や修正合意を経た政策の実現が望ましい。それが無理な場合、憲法に明示された衆院再可決を躊躇しないことが、政権を担う自民、公明両党の責任ある対応である」と再可決支持論である。日経に至っては、見出しに「再可決して、一般財源化の公約を果たせ」と取った上に、「参院の主導権を握る民主党の態度はあまりに無責任である」と批判している。
民主党が狙っている解散総選挙については、毎日新聞が社説の大半をさいて、民意を聞く必要を説いているが、肝心の時期については「当面はガソリン税の暫定税率期限切れに伴う混乱をいかに最小限にとどめるかが先だ。7月の北海道洞爺湖サミットなど外交日程への配慮もあってしかるべきだ」と述べ、事実上「暫定税率解散」を退けた。朝日新聞も「本来なら、衆院の解散・総選挙で国民の声を聞くべき局面だろう。だが、2大政党への不信がこれだけ膨らんでいる状況で、選択を迫られる国民の方も不幸なことだ」と態度を留保した。もっとも国会の成り行きによっては、両紙が解散論に走る可能性は残っている。とりわけ精彩を放つ社説は、産経の「まともな政治を取り戻せ」で、重要政策が全く決められない国会の状況について、「その責めを負うべきは、理念なき政局至上主義の小沢一郎代表率いる民主党である」と、名指しで小沢一郎批判を展開している。近頃にない論説のクリヤー・カットである。
今後の展開については、朝日の「あと1カ月。その間に、与野党が大胆に妥協する知恵を出せない限り、どちらの主張がより有権者に説得力を持つか、とことん競い合うしかない」に尽きる。要するに、暫定税率問題はかねてから述べているように、1カ月の「解散なき宣伝戦」がどう展開するかにかかっているのだ。良識的な新聞各社の論調はともかく、問題は影響力の大きい民放のニュース・ショーだ。一般市民はこれを見て判断する傾向がある。コメンテーターたちは視聴者に媚びを売って、「値上げなどもってのほか」と主張する。さすがに小沢一郎は、目の付け所が違う。ワイドショーに出席することを検討しているという。これにどう対応するかが民衆レベルでの宣伝戦の帰趨を決める。それにしても民放幹部は良識があっては務まらないのだろうか。
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