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2008-01-11 10:57
技術供与に特許活用を忘れるな
田島高志
東洋英和女学院大学大学院客員教授
2008年1月7日付の日経新聞夕刊に、農林水産省が稲わらから低コストでバイオ燃料を生産する技術を開発し、09年度にも中国やタイなど稲作が盛んなアジア地域に対し生産協力を始めるとのトップ記事が掲載された。この記事は、確か10年ほど前にやはり農林水産省が日本の持つ農作物の遺伝子技術につき、これは普遍的な技術であるから世界に開放しても差し支えないとの態度をとった直後に、米国が味もよく促成栽培が可能なトマトの新品種を遺伝子技術により開発し、その技術を特許としたため、日本が同じ技術を使用できなくなった経緯のあったことを想起させた。
世界は特許の時代である。経済成長に限度がある日本は今後技術力で生きて行くしか道がない。その技術は特許にしてこそ経済力に転化できる。環境問題を初め、日本が世界の発展と人類の生存のために求められている責務は大きい。それを達成するには欧州が環境問題で排出権取引を案出したように、日本も独自に開発した技術を、環境面であれ省エネ面であれ、国際的な取引の材料に転化しつつ世界の発展に貢献する、という一挙両得の知恵を働かせる必要があるのではないかと痛感する。日本は善良性のみを追うのではなく、誠実であると同時にしたたかな賢明さを発揚しなければ、世界での指導性を保持することは困難と感ずる。軒を貸して母屋を取られることのないように留意すべきと思う。
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