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2008-01-08 14:33
需要創出と投機資金規制は急務
河合正男
白鴎大学客員教授
最近の株価の大幅下落には、二つの大きな原因がある。一つは、米国のサブプライム・ローンの焦げ付きに見られるように低所得者の需要が伸びなくなっていることである。もう一つは、富裕層(及び金余り国)の余剰資金が投機に走り、石油等の国際商品価格を暴騰させていることである。
これは1929年に米国から始まった世界大恐慌の時の状況に似ている。当時も米国では、自由競争の結果貧富の格差が拡大し、需要不足が進む中で、富裕層の余剰資金が投機に走り、(国際商品価格ではなく)株価が暴騰していた。世界大恐慌は、政府の大きな役割を重視するケインズ経済学を生むことになった。
世界経済は、現在でも重商主義に基づいているのではないかと見られる。輸出競争に走り回っている。競争力も大事だが、その大義の下に貧困者や弱者が増え、需要が伸びない状況を生んでいる。福田政権では改革が後退するのではないかとの懸念が報じられるが、真剣に低所得者層対策を実施し、内需を拡大していくことも大事だ。
中国経済も高度成長を続けているが、それが必ずしも内需拡大に結びついていない。貧困層の需要不足と投機資金への対策は世界的な課題である。今年の洞爺湖サミットで、環境問題を議論することは重要であろうが、同時にホスト国として世界的な需要創出と投機資金規制についても議論をリードしてはどうだろうか。
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