ホーム
新規
投稿
検索
検索
お問合わせ
2007-12-13 22:39
印象の薄かった第3回東アジア・サミット
河合正男
白鴎大学客員教授
11月21日にシンガポールにおいて第3回東アジア・サミットが開かれた。東アジアの10プラス6の首脳が一堂に会したにしては報道振りが小さかった。報道内容でも、印象に残るものが乏しかった。いつの間に終わってしまったのか、という感じである。公式発表的に言えば、「気候変動、エネルギー及び環境に関するシンガポール宣言」が一大成果であり、この成果を明年のサミットにつなげる、ということになるのであろうが、どうも役人達が一大奮闘した結果の文書だ、との印象である。域内協力についての一大成果であったのであれば、もっと政治的にプレイ・アップされるべきであった。
このサミットの印象が薄かったのは、日本の政治においてアジア重視ということが言われながらも、未だ本腰が入ってないためではないだろうか。与野党とも「アジア重視外交」の具体的構図が描けてないためではないか。また、韓国の大統領選挙が近づいているために、日中韓首脳の話し合いも当たり障りのないものに終わってしまったのではないか。
韓国では間もなく、ハンナラ党候補の李明博氏が大統領に当選するのであろう。日韓関係を安定化し、発展させるチャンスである。先ずは、両国首脳の信頼関係を確立して、日韓FTAの締結を図るべきである。私もかつてその研究に参加していたが、両国間で感情的にならずに、関税引き下げの効果等について冷静に話し合えば、双方に利益となるFTAが必ずや締結できるはずである。
対アジア外交は日韓関係だけではないが、先ずは日韓、日中関係を安定化することがその重要なベースである。その上で、東アジアの地域協力について、日本がもっとイニシャティブを示して行くべきである。それをASEAN諸国も期待している。ASEANの地域統合も2015年が目標である。遠い将来の話ではない。東アジア・サミットも既に3回行われた。もうそろそろ、東アジアの地域協力についての将来像が地域の人達に分かるように描き始められるべきである。それは政治家の力によって描かれるべきである。16カ国の首脳の立ち並ぶ写真が新聞の一面を飾るような、重みと成果のある東アジア・サミットに発展して行って欲しい。
>>>この投稿にコメントする
修正する
投稿履歴
一覧へ戻る
総論稿数:4819本
グローバル・フォーラム