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2025-02-12 09:42
日韓不動産市場の歴史的推移から見る日韓経済について
真田 幸光
大学教員
韓国の朝鮮日報に、日韓の不動産市場に関する記事が出ていたので、今日は先ず、それを引用してみたい。「韓国ソウル郊外の京畿道果川市に住む、現在59歳となるKさんの財産は、現在住んでいる時価15億ウォンのマンション(面積約30坪)がほとんどである。そして、住宅を購入する際に銀行から借りた住宅ローンを返済するため、元利合計で毎月300万ウォンずつ返済している。Kさんの家族が持つ金融資産は1億ウォンにもならない。Kさんは、ローン返済で手一杯であるが、住宅価格が更に上昇する期待があるので、家を売ったり、住宅年金(リバースモーゲージ)に加入するつもりはないと話している。このKさんのように資産が不動産に集中しているのは、韓国の家計の一般的な特徴であり彼が例外ではない。国際機関である経済協力開発機構(OECD)と中央銀行である韓国銀行によると、2022年現在で韓国の家計に於ける非金融資産の割合は63.2%となっている。米国(33.8%)、日本(37.2%)の2倍近くなっている。英国(46.8%)、カナダ(46.3%)、フランス(61.7%)よりも高い。
しかし、ここで問題なるのは、不動産に集中した資産構造が韓国経済の潜在成長力を低下させていると言う点である。資産が不動産に縛られ、内需と生産的な投資が減少し、証券市場に資金が流れ込まなくなる現象が見られている。この結果、企業は必要な投資をすることが難しくなり、経済成長を阻害する悪循環を生む。現代経済研究院は、企業への資金の流れが長期間滞れば、産業全般の活力が低下するのは避けられないとの見方を示している。そして、これは約30年前の日本とそっくりとなっている。1980年代、日本は低金利、輸出促進政策、技術革新などで最大の経済好況期を迎えていた。行き場のない資金が集中したのは不動産であった。日本の不動産価格は、1987年の1年間だけで約70%高騰した。1990年には日本の家計の非金融資産の割合は63.7%に達した。
更に大きな問題は、こうしたバブルがはじけたことで発生した。日本の住宅価格が下がり始め、家計が直撃を受けた。日本の失われた30年の背景にはこうした不動産バブルがあったとの分析が多い。生産的分野や国内企業に資金が流入するように証券市場へと資金の流れをシフトしなければ、韓国も日本のような長期低迷に陥る恐れがあると懸念されている。韓国の資金の流れという面では、長期不況に突入した日本より深刻な部分もある。不動産への集中現象に加え、韓国の資金が海外に流出しているからである。国内投資家は低迷している韓国株式市場ではなく、米国株に投資している。米国のS&P500指数やダウ平均などが連日最高値を更新し、投資家の人気を集める一方、韓国総合株価指数(KOSPI)は年初(2669.81)に比べて7%以上下落し、2,500ポイント台で推移している。海外株式に投資する国内投資家の米国株保有額は今月初め、史上初めて1,000億米ドルを超えた。」
私は、実に的を射た分析であると見ています。日本も韓国もせっかく汗水流して作り、蓄えてきた資金を、「不動産市場ばかりにではなく」そして、「海外に流出させることなく」先ずは、「自国民が稼いだ資産を以って、自国民の次の成長を支える産業を造る為に、生きたお金の使い方をしないといけない。と思います。それが出来ないと日本も韓国も間違いなく衰退、自らの稼いだお金は外国に利用されてしまうことになりましょう。日韓共に、今が一つの正念場であると私は見ています。
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