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2025-01-13 11:44
台湾統一を「阻止不可能」と演説した中国の野心
宇田川 敬介
作家・ジャーナリスト
習近平国家主席の新年の演説は、毎年「台湾統一」を話している。今年は「今年、私はマカオの祖国復帰25周年に際して再び濠江の畔を訪れました。現地の新たな発展と変化を嬉しく思っています。我々は『一国二制度』の方針を揺るぎなく堅持し、香港とマカオの長期的な繁栄と安定を維持していきます。両岸同胞は家族であり、我々の血の繋がりは誰にも断ち切ることができず、祖国統一という大勢は誰にも阻むことができません。」という発言をもって、日本のニュースは「台湾の統一は阻止不可能と警告した」というように解釈をしている。
まあ、台湾ということは言っていないが「両岸」という言い方で「台湾海峡を挟んだ両岸」という意味で、台湾のことを指していることは明らかである。これは「台湾統一を行う」ということを発言しているのであり、これに関しての報道では、トランプ政権を念頭にしたということを言っているが、実際は頼清徳台湾総督を念頭に置いたものではないかと私は思っている。一方、このようなことを報道されて、すぐにびびってしまう日本の現在の閣僚などは「習近平がこのように言っているから・・・」などとすぐに妥協してしまう。基本的に「建前で何かを発言している」ということが全く理解できない人が多すぎるので、困ってしまう。
毎年「台湾統一」を言っているのであるが、その言い方が少しずつ変化している。今年の内容は、上記にも書いたように「マカオ」を引き合いに出している。一方香港に関しては、「香港マカオ」というような言い方をしているものの、「都合が悪いので何も言わない」ということをしている。しかし、中国に畏怖している国々は、この言葉だけで十分「マカオが成功しているのであるから、中国に協力しても問題はない」というような感じになってしまうということになる。ようするに「成功事例をあげ、不都合なことを隠す」というやり方で「敵か味方かを振り分ける」ということを企画しているということになるのである。
中国の外交は「裏で脅迫し、建前では適当にごまかす」というような外交をしているのであるが、まさにこのような感じではないか。「中国は責任ある大国として、グローバルガバナンスの変革と、グローバルサウスの団結と協力の強化を積極的に推進しています。」などというものは、まさに「中国のご都合主義のガバナンスに変革する」ということを言っているのであり、それが許されるのか国際法を曲げてよいのかということは全く考えていない。国際法を守るのであれば、ロシアのウクライナ侵攻も北朝鮮のミサイル実験もいずれもすぐに中止し法を守るように圧力をかければよい。それができずに、いやそれを裏で支援しながら、このような発言をするということがどのような意味かをしっかりと見てゆけばよいのではないか。このように「発言は必ず裏を読む」ということが必要である。
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