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2024-01-18 11:46
公開の安全と商業の自由とテロリスト攻撃
宇田川 敬介
作家・ジャーナリスト
イエメンといっても、日本人のほとんどはその場所がよくわかっていない。また自分の生活に関係があるというような感覚を持っている人も少ないのではないか。そして、イエメンで起きていることが、実は日本の生活に大きな影響を及ぼしているということもあまりわかっていない。「物価が高騰している」などということを言い、政府に何らかの対策を求めるのはよく理解できるが、しかし、一方でその様な世界情勢を全く理解していない、関心もないというのは、あまりにも何もわかっていないということになるのではないか。そのようなことだから「何が悪く、何が原因で、何が足りないから政治がうまくゆかないのか」「どのようにすれば、日本の経済(または自分たちの生活)がよくなるのか」「そのために自分がどのような行動をしなければならないのか」ということには興味を持たないと言うことになる。要するに「何だかわからないが、騒いでいる」というようなことになってしまい、そのことから「根拠のない批判」または「批判のための批判」というように言われてしまう。まさに現在の野党各党がその内容であり、日本が二大政党制になったり、野党がいつまでたっても(一部の例外はあるが)政権を取ることができないのと同じことになる。
さて、ではそのイエメンでは何が起きているのであろうか。そもそもイエメンは、2015年以降内戦が行われており、現在も継続している。その中で一応民主的に選ばれたハーディー大統領と、それに反対するフーシを中心にしたフーシ派、そして、ISという勢力がありその三つ巴の戦争が起きている。曽於内戦に関しては、様々な意味で色々と考えなければならないが、その詳細を見るのはここではやめておくことにしよう。しかし、アラブでこのような対立が起きた場合は、当然に「シーア派(イラン)」と「スンニ派(サウジアラビア)」の対立になり、そのままその二つの勢力が大きく対立し代理戦争的に発展する。同時に、その内容に関してテロリストや民族主義(歴史的な原理主義者やイスラム教が入る前の民族者)が入ってくることになるのである。このイエメンでもハーディー大統領派が「サウジアラビア=アメリカ」になり、フーシ派が「イラン=ロシア」というような対立の構図が見えてくることになる。
要するに、世界が二分化して敵対構造がでてきている状態であるということだ。その内容がアラビア半島の先端であり、紅海の沿岸部のイエメンでも起きているということになるのである。そしてその内容は「アメリカ・イギリス」と「中国・ロシア」という大きな対立構造の中に入っているということになるのである。この対立構造に結び付けて話すのはいかがかということであるが、しかし、今回の内容は結び付けなければ説明がつかない。一つは、今回フーシ派は「イスラエル・ハマス戦争でのイスラエルに対抗する」ということになるのだ。そのうえで、「イスラエル」を支援しているのがアメリカなので、その内容に対抗するということは、まさに世界二分化の影響ということにな。そのうえで、「イスラエル」に関連する、つまりアメリカに関連する船が全て紅海で攻撃されるということになる。まさに「シーレーン防衛」や「取引の安全」が阻害され、航行の安全が守られないということになるのである。アメリカはその航行の安全を守るために、そしてイギリスはスエズ運河を運航する航行の安全を元に、航行の安全とスエズ運河の利益を守るということになるのだ。そのことによって、フーシ派を攻撃するということになるのである。
フーシ派のスローガンは「アッラーは最も偉大なり。アメリカに死を。イスラエルに死を。ユダヤ教徒たちに呪いを。イスラームに勝利を。」であり、イランとの連携もあってイスラエルに恐怖感を与えている。しかし、サヌアを含めた北部・中部を実効支配しているが、南部・東部のスンナ派部族はフーシへの反発を強めており、アラビア半島のアルカーイダやISILはフーシへの抗戦や殲滅を呼びかけている。要するにこのようなことから、イエメンは散文化している。イランにおける1月の爆破テロに関しても、このような状況から、ISがイランのソレイマニの追悼式を推そうということになるのだ。そのように考えれば、中東は「ISやアルカイダという勢力を入れて、その派閥を見てゆかなければならない」ということになる。
要するに、今回のフーシ派の攻撃と対立がそのまま中東の勢力圏をうまく見えてきているということになる。日本の報道のような「ISはテロリスト、アメリカとイランが対立している」という単純化された二分論ではないということになるのである。
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