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2022-12-13 22:35
為替介入について
真田 幸光
大学教員
ロシアのウクライナ侵攻を大きな背景として、世界的なインフレが進展、インフレ退治を積極的に進める基軸通貨・米ドルの発行国である米国政府の、政策金利の引き上げの動きによって、金利の高い通貨・米ドルが買われ、現在、「米ドル基軸通貨経済圏」に於いては、「相対的な米ドル高」が継続、その反対側で、その他通貨安が見られ、特に、米国には追随せず、政策金利をマイナス金利のままに据え置いている日本の金融当局の姿勢を背景にして、特に、「円安の進展」が顕在化してきていた。
こうした中、韓国を含むアジア新興国が為替防御の為、9月だけで米ドルを282億米ドル売り越しているが、これに円安の進展が著しい日本を含めると約500億米ドルが売り越されている。これは、国際金融市場が一定の信頼感を置くブルームバーグが、香港、インド、インドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポール、韓国、台湾、タイのアジア9カ国の米ドル売り越し規模を集計したものであり、それに想定されている日本の為替介入資金約200億米ドルを加えた数字である。
そして、そのブルームバーグは、「アジア各国政府は過去にも為替の防衛や変動抑制の為に外国為替市場にしばしば介入したが、先月の米ドル売りは新型コロナウイルス感染拡大初期の2020年3月の出来高を超えるものとなっている。」とコメントしている。こうして、日本を含むアジア各国が為替防御に乗り出しているが、その結果として、外貨準備高も減少していく訳であり、今後は外貨準備高の減少を背景として、市場環境全体が悪化すると、「円安、アジア通貨安が新たに発生する可能性もある。」と思われる。
実際に、本年9月末現在では、韓国の外貨準備高は4,167億7,000万米ドルで、前月に比べて196億6,000万米ドル減少、香港は126億米ドル、台湾は43億8,000万米ドル減少している。外国為替市場安定の為に米ドルを大量に売った上に、米ドル高で他の外貨の資産価値が減少したことも影響したとしているが、いずれにしても、外貨準備高の減少は、今後、もし市場環境が再び悪化すると、更なる円安、アジア通貨安の火種となりかねない。注視したい。
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