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2022-11-10 15:22
東西の島国と帝国の二重性:大日本帝国系保守の問題
倉西 雅子
政治学者
イギリスにおけるスナク政権の誕生は、同国の歩んできた歴史に基づく国民国家と帝国との二重性の問題を問うています。この問題、ユーラシア大陸の東端に浮かぶ島国である日本国とも無縁ではありません。戦前にあっては日本国もまた、大英帝国ならぬ大日本帝国であったからです。現在のイギリスは、独立を果たした旧植民地諸国との間にコモンウェルスと称される緩い枠組みを残しており、敗戦を機に外地が完全に切り離された日本国とは状況が全く違っているように思えます。しかしながら、地理的な枠組みは消えたとは言え、大日本帝国の幻影は未だに日本国内を徘徊しているのかもしれません。その理由は、今日、国民国家としてのイギリスが世界権力とも目されるグローバル勢力によってコントロールされているように、日本国も、必ずしも独立国家とは言い切れない側面があるからです。
例えば、今般の世界平和統一家庭連合(元統一教会)の問題も、大日本帝国の幻影から説明することができます。自民党が保守政党でありながら、かくも韓国系の新興宗教団体との関係が密接であったのか、その理由は、イギリスと同様に、日本国にも大日本帝国系の保守勢力が存在しているからなのでしょう。日本国には、古の時代から受け継がれてきた固有の伝統を守ろうとする日本系保守と明治維新以降にあって異民族を包摂し、帝国となった時代の保守、即ち、大日本帝国系の保守の二種類が混在しています。後者の保守であれば、観念上であれ、朝鮮半島はかつての大日本帝国の版図に入ります。イギリスにインド系のスナク政権が誕生したように、前者の保守は、日本国に韓国系政権が出現しても違和感も抵抗感も全くないのかもしれません。否、旧帝国領内の異民族に出自を遡る政治家は、保守政党の名の下で‘征服者を征服すること’に情熱を傾けているかもしれないのです。帝国の宿命、あるいは、‘征服者’への復讐として・・・。
ここに、大日本帝国系の保守と古来の日本系の保守とは真逆の存在となり、後者から見ますと、前者は、国民を欺く偽旗作戦の実行者であると共に、村上議員がその発言において表現されたように‘売国奴’とならざるを得ません。今や異国であり、かつ、日本統治時代を過酷で残虐な植民地支配として断罪している近隣諸国に日本という国を明け渡そうとしているのですから。両者とも保守を名乗りながら、真っ向から対立することとなるのです。報じられているように、世界平和統一家庭連合(元統一教会)との間に政策協定が締結されていたとすれば、第9条や緊急事態条項の創設を含む憲法改正も、日本国の軍備増強も、日本国の防衛や安全保障を盤石とするのが目的なのではなく、将来的な第二次朝鮮戦争における援軍のみならず、第三次世界大戦を視野に入れた‘自衛隊の利用’が真の狙いであるかもしれないのです。
大英帝国と大日本帝国は、世界地図からは姿を消しても、今日なおも内外の政治を動かしているのかもしれません。そしてそれは、時にして政治の表舞台に現れます。西のイギリスではインド系のスナク氏の首相就任として現れ、東の日本国では、世界平和統一家庭連合(元統一教会)との関係から安部元首相が大日本帝国系の保守であった可能性が浮上し、国民の保守不信を深める原因となっているのです。そして、ユーラシア大陸の西と東の島国において、今日起きている現象は、近代以降、日本国を含む列強を‘帝国主義’へと駆り立てていたのは、一体、何であったのか、という人類史上の重要問題を問うています。どのような勢力が、何を目的として、地球儀を眺めながら列強を覇権争いへと誘導していたのでしょうか。今日にあっては、帝国主義はグローバリズムに看板を掛け替えており、世界権力にとりましては、何れの時代にあっても、国家の政府というものは自らの‘駒’、あるいは、‘駒’として自由に動かすことはできないまでも、コントロールの対象でしかないのかもしれません。ウクライナ紛争のみならず、中国にあっては習独裁体制が強化され、第三次世界大戦の足音が聞こえる今日、教科書には記述されていない世界史の裏側を探求することは、日本国民のみならず、人類が自らを救うための重要な作業になるのではないかと思うのです。
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