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2007-09-12 15:51
地方主導の日韓経済圏構築の動きに注目したい
西川恵
ジャーナリスト
韓国・釜山市で8月末に開かれた日韓フォーラムに参加したが、知り合いの東西大学(釜山市)副総長の張済國さんから面白い話を聞いた。張さんもかかわっている福岡市と釜山市の経済統合の計画だ。
韓国第2の都市・釜山(400万人)は日本の地方都市と同様、人口減と経済停滞に悩んでいる。これまでは北の首都ソウルばかりを見てきたが、これからは玄界灘をはさんで南の福岡市との提携で地域振興を図ろうと、昨年、福岡市との間で両国の企業も含めた戦略会議を立ち上げた。第1段階は、市民レベルで友情と共感を広げるため2009年を両市友情年として、さまざまな交流事業を立ち上げる。ここまではよくあるが、面白いのはこれを土台として第2段階で経済統合を模索することだ。
米国とカナダの両市民は、運転免許証を提示すれば両国を自由に往来できる。これをヒントに、釜山、福岡の両市民は免許証など住所を証明するものがあれば、パスポートなしで自由に両市を行き来できるようにする。また両市民には相手方の市内でレストランなど店舗を開く権利を持たせる。両市の私立・公立大学の間でも単位取得で互換性をもつようにする。釜山港は香港、上海などと争うアジア第4位の港湾で、福岡市にとって釜山港は物流の中継地、釜山市にとっては福岡市の物流の取り込みと、双方にとってメリットがある。以上はアイデアのほんの一部だが、ヒト、モノの自由往来で、国境を越えた地域経済圏を構築しようという考えである。国の規制の壁が立ちはだかり、簡単にはいかないだろうが、日韓の地方同士が経済統合を目指すのはこれまでにない。
「両国が政治的に緊張する度に、せっかくの文化交流も中断する。地方同士が経済的関係を深めれば、簡単には崩れない。地方が両国関係を支える時代です」と張さんは言う。国境を越えて異国の地方同士が経済圏を構築しようとのイニシアチブは注目されていい。
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