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2021-10-22 20:40
ドイツ政府の「脱原発政策」補償について
真田 幸光
大学教員
私の知るところ、ドイツ政府は今春、ドイツ政府が示した、「脱原発政策」によって損害を受けたと主張する電力会社4社に対して、補償金として総額で約24億ユーロを支払うことで合意したと発表しました。即ち、ドイツのメルケル政権は2011年に発生した日本の東京電力福島第一原発事故を受け、2022年までに脱原発を図る方針を表明しましたが、ドイツでは、その事故の前年の2010年には既存原発の稼働延長を決めており、急な政策転換で原発関連の投資が無駄になったとして電力会社が補償を求めてきたのでありました。
これに対して、ドイツ政府として、その責任を認め、補償金を払うことを明確にしたのであります。尚、ドイツの連邦憲法裁判所も、2016年と2020年に電力会社への補償が必要であると認定しています。こうしたことからすると、ドイツでは、司法も行政も、「国民の生命と財産を守る為に決定をした脱原発政策への転換」であるとはいえ、その前に関与していた原発関連企業が受ける損害に対してはきちんとその責任を負う姿勢を示したのであり、これはフェアなことであると私は考えます。
そして、このように、「腰の据わった政策」を展開するドイツ政府の対応は世界の手本であるとも思います。こうして考えるとき、日本も、もう少し、「原発の功罪」を産官学金そして、国民皆がしっかりと議論をして、覚悟を決めて、「日本のエネルギー政策」の根本を考えていく必要がありそうです。
尚、ドイツ政府の補償を今回受ける企業は、スウェーデンのバッテンフォール(14億2500万ユーロ)やドイツのRWE(8億8000万ユーロ)など4社のようです。原発ビジネスについては、フランスのロスチャイルド系企業がグローバルなビジネス標準を握り、世界的に見ると、容易には無くならないと見られてはいますが、これからも、原発については、世界の動向と日本の政策対応などをしっかりとフォローしていきたいと思います。
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