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2021-05-01 01:19
中国版「FEMA」応急管理部人事から見えるもの
松本 修
国際問題評論家(元防衛省情報本部分析官)
4月29日、昨年末の王玉晋の逝去によって約4か月間空席であった応急管理部部長に黄明(副部長兼同党委員会書記)が任命され、「昇格人事」が明らかになった。これまでの応急管理部をめぐる動向については、昨年12月14日付の拙稿で述べているので、ここでは詳述しない。しかし、王玉晋の葬儀については「習近平、李克強ら中国要人の参列があるのか注目されよう」としていたが、実際は党内序列3位の栗戦書・全人代常務委員会委員長(政治局常務委員、習近平の名代)、孫春蘭・副総理(政治局委員、李克強の名代)、王勇・国務委員(副総理級閣僚で安全生産委員会主任)らが参列し、黄明ら応急管理部党委員会メンバーが集団で参列したとされ、その報道は低調であった。
また、あらためて応急管理部HPを確認すると、人事上は公安部出身の黄明部長のほか、副部長(次官)には国家鉱山安全監察局長、水利部副部長、国家安全生産応急救援センター主任、森林消防局長、中国地震局長、消防救援局長の兼職が多数の「寄合所帯」であり、職責上も突発事件対処のため応急管理システム=「危機管理体制」構築を目指しながら実態は鉱山や工事現場における大規模事故防止の安全生産確保、震災・火災・風水害・干害等への早期対処、そのための「実働部隊」である消防隊の訓練・派遣が主要任務であった。2018年3月の国務院機構改革の一環として、各部門に分散・孤立していた「危機管理」機能を一本化し「換骨奪胎」で創設した応急管理部であったが、昨年来の「COVIDー19」対処など3年経過してみて「羊頭狗肉」の現状を露呈したと言える。他方、応急管理部に設置されていた党組織は従来「党組」であったのが、昨年3月「党委員会」となっており、これは応急管理部の権限拡大を示唆するものと考えられ、今後の活動状況が注目される。
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