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2007-07-24 19:49
「日ASEAN対話」に出席してーー求められる日本の積極性
山澤逸平
一橋大学名誉教授
7月19日にグローバル・フォーラム主催により都内で開催された第6回「日・ASEAN対話」において、赤尾信敏アセアンセンター事務総長が「ASEANは、その経済統合を2015年までに達成すると宣言したが、本当にできるのか」と問いかけ、出席者たちから関連するコメントや質問が続いた。それに対してソエンASEAN事務局次長が、「本当にできるかという懸念はASEAN内部でも言う人がいるが、やはり2015年までにやるという目標を掲げることが重要だ」と答えた。まあアセアンウェイ的な返事だった。しかし突っ込んで考えると、そういう形で対話を終わらせるのがこれまでの日ASEAN関係だった。「日本はもっとプロアクチブになれ」という発言があったが、それは日ASEAN関係をこういう形で終わらせないで「さらに一歩踏み込んで、目標実現に迫れ」ということなのではないか。
学者や官僚は2015年になって「やはりできなかった」で済むが、2015年までに達成するというのはビジネスに対する約束であって、ビジネスがそれを将来計画に織り込んで、初めて経済統合の成果が上がる。経済産業省やJETROの東アジア経済共同体構想では「AFTAの上にサービス自由化や円滑化を進めて、ASEAN統合を達成するのを日本が支援する」と説く。これはASEAN統合のためだけではなく、日本企業のビジネス環境を整備するためでもある(東アジアビジネス圏)。
ASEANの統合促進自体はASEANメンバー国政府の仕事であるが、日本政府にはそれを計画通りちゃんと実行させる責任がある。経団連は「ASEAN統合を2015年までに約束通り達成すべくASEANメンバー国に拍車を掛ける」よう、政府に要求しているのであろうか。「そうでなければ、ASEAN統合を前提にした将来計画などできない」と言って。そのようにぎりぎり迫らないのが日本のこれまでのASEANとの付き合い方だった。しかし日本が本気でASEANを助け、経済共同体を構築しようというのなら、この付き合い方を変えなければいけない。それが「日本はもっとプロアクチブになれ」ということの意味ではないか。
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