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2020-09-24 14:59
スコットランド情勢を考える
真田 幸光
大学教員
私は、現行の世界秩序、就中、現行の経済世界秩序は、「英米標準に基づく秩序で成り立っている」と考えています。英語、英国ポンドから米ドル、英米法、ISOに見られるものづくり基準、英米会計基準、そして時のスタンダード・グリニッジ天文台、などを考えると、好むと好まざるとに拘らず、「英米の秩序」で世界は動いていると考えられます。しかし、こうした中、「中国本土が台頭して英米の秩序に待ったをかけ始めている」とも言えます。或いは、世界的な過激派が、暴力的な行為も辞さず、との姿勢を示して、現行の世界秩序に挑戦をしています。そして、スペイン・カタルーニアなどに見られる、「国の秩序そのものを変える動きも出てきている」とも言えます。そうした国の秩序の変化の可能性が見られる国に、「英国」が出てきているのではないかと思います。
すなわち、「スコットランドの独立の動き」であります。特に最近の動きを見ていると、「英国のジョンソン首相は、スコットランド住民から、サッチャー元首相より、もっともっと嫌われている」との声が出てきていることが報告される中、(1)英国のEUからの離脱、(2)新型コロナウイルス拡散問題、そして(3)ジョンソン首相の人気低迷という三点が、スコットランド住民の気持ちを、イングランドから離れさせている要因であり、「スコットランド住民の気持が、こんなにまで英国から離れてしまったことは、これまでにはなかったことである」との見方まで出てきています。
更には、ジョンソン首相がスコットランドに出掛けようとした時、ジョンソン首相は、「これまでの半年で分かったことは、英国のこの4つの地域、即ち、イングランド、ウエールズ、スコットランド、北アイルランドの4つが、今程に、心身一体になっていることなどなかった。我々4つの地域間の団結は誠に重要である」とのコメントを示しましたが、現実は、ジョンソン首相が言う状況とは正反対の状況にあり、特に、イングランドとスコトランドの関係は今、嘗て見られなかった程に、分裂しているとの見方が強まってきています。
本来、スコットランド独立の話は、2014年に実施された、「スコットランド独立の是非を問う住民投票」に於いて、「55%が反対した」ことによって、結論が出ている筈のものであると考えるべきでありましょう。しかし、それから6年が経ち、英国のEU離脱が形式的には決定している中、「スコットランド独立問題」が改めて再燃、「スコットランド住民の62%が、EU離脱に反対を示している」状況下、スコットランドのスタージョン首相は、「スコットランドだけで、EU離脱の是非を問う住民投票をやろう」との主張を示しているのであります。英米の秩序の片割れである、「英国自身が分裂することとなれば、英国連邦の力も弱まり、世界秩序そのものも崩壊するかもしれない」との可能性も含めて、「スコットランド情勢」については、注意を払っていく必要があると思います。
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