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2020-03-25 00:52
最近の習近平指導部への試論補足
松本 修
国際問題評論家(元防衛省情報本部分析官)
1 はじめに
先日、最近の習近平指導部の動向で公安部、応急管理部に関する拙稿を投稿したが不十分な内容であったと思う。あらためて最近の情勢を補足して紹介したい。
2 中国流の情報公開
3月13日、中国メディアは、1月末に中国共産党が設置した「中央疫状対応工作指導小組」の会議開催状況を「(1月25日以来3月12日までの)47日間で16回開催した」と初めて明らかにした。当初不定期に開かれた会議であったが、2月に入ると概ね週の頭(月曜日、火曜日)と木曜日に開かれており、報道以降も16日、19日、23日の開催が確認されて通算19回となった。そして、こうした日程を、過去の拙稿で注目してきた中国の最高意思決定機関である中共中央政治局常務委員会の開催動向を重ね合わせると、2月12日以降、同会議は毎週2回の「小組」会議の間の水曜日に開かれていることが判明した(例外は10日火曜日に習近平が湖北省武漢市を訪問した翌日は非開催)。この流れでいけば3月25日水曜日に政治局常務委員会、26日木曜日に疫状対応工作指導小組が開かれるであろう。COVID-19への「総力戦」という「戦時」状態にも関わらず、こうした「情報公開」は異例であると言える。
3 民衆への配慮
3月23日、民政部は通達を出し、4月4日の「清明節」(伝統的な墓参行事)に関連して疾病への対処を第一としながら中国各地の状況に鑑みて封鎖状況を一部解除、人民大衆の行事参加を容認するとした。これは3月10日、習近平の武漢視察時に示された「民生の安定とは人心と社会の安定である」という「柔軟」路線に合致したものである。実際、習近平視察後の12日、封鎖状態にある湖北省孝感市(武漢市の近隣都市)では民衆数百人が食品など生活物資の配給に関して抗議活動を行ったことが明らかになっており、一定の「ガス抜き」対応が必要なのであろう。
4 おわりに
本稿作成中、7月の東京五輪の1年内延期が発表された。水曜日に開催されると思われる中共中央政治局常務委員会でも、今後の中国の対応が論議される可能性が高い。しかし、明年7月1日は中国共産党は創立100周年の記念日を迎えることから、従来の「愛国主義」教育が強化・徹底され「反日」ナショナリズムの再燃も予想される。
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