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2007-06-14 19:24
アジアからの留学生を如何にして増やすか
河合正男
白鴎大学客員教授
6月4日付の読売社説「留学生政策:日本で学ぶという気にさせねば」は、アジア・ゲートウェー構想を引用しつつ、「留学生受け入れを促進するための施策を、早急に講じなければならない」としている。アジア諸国からの留学生を増やすために、私もいくつか提言してみたい。
アジアからの留学生増を図るためには、三分野の課題、すなわち留学生受入れの社会環境、大学の体制、そして卒業後の就職について改善策が取られなければならない。社会環境については、留学生を支援している団体によると、下宿、アルバイト等でのトラブルを始め、依然として実に多くのトラブルが発生している。アジア・ゲートウェー構想を実現するためには、先ず日本社会自身の国際化を図らなければならない。私も大学で講義をしていて、学生たちが他のアジア諸国について殆ど知らないことに今更ながら驚かされる。高校までの課程で、もっとアジアについての学習を含めるべきである。また、若い人達に他のアジア諸国での生活体験を持たせるプロジェクトを官民双方で増やすべきである。さらに、アジアについての国内啓発を強化し、アジア人への蔑視観を改めていかなければ、アジア・ゲートウェー構想は本当の意味で成功しない。
次は大学の体制であるが、先ず奨学金がまだまだ少ない。私が留学したアメリカの大学からは今でも毎年寄付要請が来る。日本で寄付を増やすためには、やはり税制を変えなければならない。また、留学生と日本人学生との交流が意外と少ない。私がアメリカに留学した時に、友人を作るために苦労した記憶はない。学内での交流促進等留学生支援体制を強化すべきである。
なんと言っても重要なのは、卒業後の就職である。大学経営者が外国人留学生を増やしたいと考えても、就職の世話が大変だとして教授たちが抵抗することもある。今後、留学生の雇用は日本企業にとってますます重要になって行く、と言うことは分かっていても、そのための十分な意志と雇用体制が整っている企業はまだまだ少ない。留学生雇用で優れた実績のある企業を、いずれかの政府機関が評価して、公表することにしてはどうだろうか。アジア人とともに生きていく、企業戦略と実行力を持った企業にインセンティブを与えていくべきである。
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