経済学分野におけるドイツ語と英語の言語文化障壁の問題は、1987年にドイツ人研究者P. R. Sennによって取り上げられていた(’What has happened to Gustav von Schmoller in English?’ -- History of Economics Society Bulletin, 11: 252-294)。ドイツ歴史学派のグスタフ・シュモラー(1838-1917)はドイツ経済学界に甚大なる貢献をなし大きな影響を及ぼしたが、彼の経済学や方法論がドイツ語に深く依存していたため、ほとんど英訳されることがなく、英語圏にはあまり知られることがなかったのである。それに対して、シュモラーより前に活躍したカール・マルクス(1818-1883)の著作には英訳がある。