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2018-12-03 16:00
躍動するホーチミン
真田 幸光
大学教員
今週は、ベトナムのホーチミン市に行って参りました。若年人口が多く、また、潜在的な労働者の数、潜在的な消費者の数の多いベトナムには、経済成長の伸びしろがあると思います。そうした一方で、ベトナム政府は、国家債務が大きい中、国家のGDPの65%以内に国家債務を抑えようとしており、そうした結果、ベトナムの経済発展を支える投資資金の枯渇も見られているとも言われています。実際に、ホーチミン市の地下鉄工事を推進している日本企業に対する工事代金の支払いの一部が滞るなどの事態も見られているようです。
しかし、国家債務の安定は、相対的な為替相場の安定を齎し、そうした中で、安定的な経済成長が見られているベトナムに対する世界各国、企業たちの関心は高く、ベトナムを注目している国の中に韓国があることも忘れてはならないでしょう。実際に、ベトナム経済に対しては、例えば、三星電子やポスコの経済的なプレゼンスは高いです。特に、三星グループは創業者ファミリーとベトナム共産党との関係が深く、こうした経済関係の緊密さを支える一つの背景ともなっています。一方、ベトナム各地の主要都市では韓国人観光客をしばしば見かけるとともに、そうした市内での現代自動車のプレゼンスも高く、ベトナムと韓国の関係の深さを肌で感じます。
ところで、上述したような状況下、韓国第二の都市・釜山市は、東南アジアからの観光客誘致を目指して、姉妹都市の日本の福岡市と12月4日に、ベトナム南部のホーチミン市で共同観光説明会を開催しました。この説明会は、距離的に近い釜山と福岡を一つの広域観光圏と捉えて、共同マーケティングを展開する釜山・福岡アジアゲートウェイ事業の一環として行われました。両都市は説明会で主な観光地と観光商品を紹介し、ホーチミンの旅行会社やマスコミ関係者と会って、観光交流ネットワークを築きたいとしています。また、韓国の釜山からは市や地元観光協会、観光業界の関係者ら12人がホーチミンに赴き、説明会に先立ち、現地の大手旅行会社を訪問するなどして、積極的なマーケティング活動を行っていました。
釜山市としては、韓流ブームなどを背景として、ベトナムから釜山を訪れる旅行客は増加を続けており、本年1~9月に釜山を訪問した外国人客180万人のうち、4.1%に当たる7万4,000人がベトナム人客、また、その人数は前年同期の6万5,000人に比べ14.4%増えており、ベトナム人観光客誘致には力が入っています。また、ホーチミン市は釜山の空港から直行便があるため、観光交流はこれから一段と増えると期待されています。日韓共同で、こうしたベトナムをはじめとする国際交流の拡大を図っていくことは、日韓関係の緩やかな改善にも資するものと思われ、大いに期待していきたいです。
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